名古屋大学医学部付属病院 乳腺・内分泌外科:副甲状腺-治療
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トップ副甲状腺とは>治療

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治療

副甲状腺機能亢進症の治療は以下の項目があれば原則手術になります。ただし全身状態が悪く手術を行うことが困難な方には副甲状腺内にアルコールなどを注入してその組織を壊すという治療もあります。この手技は熟練が必要で、反回神経の麻痺(後述)という合併症がおこる危険もあり、当院では行っておりません。

  1. 1.血中のカルシウム値が著明に高いとき
  2. 2.腎機能障害のあるとき
  3. 3.高カルシウム尿症の高度なとき、、腎臓・尿管・膀胱に結石がある(あった)
  4. 4.骨の密度の減少が著しいとき
  5. 5.50歳以下のとき

これらの項目を満たさなければ、手術をせずに様子を観察することもあります。

副甲状腺機能亢進症の手術

前頚部に約6-10cmの切開を首のしわにそって加えます。これは少しでも手術の傷がしわで目立たなくするようにするためです。皮下と筋肉のあいだをはがして、筋肉を縦に分けることができるようにします。筋肉を開くと甲状腺が露出します。手術前の画像診断に基づいて腫れた副甲状腺のある側の甲状腺をめくって、甲状腺の裏を調べます。この病気の85-90%の方は腫れている副甲状腺はひとつだけで(腺腫)これのみを摘出します。手術前の検査結果と、手術中の所見が合致したときは、反対側の甲状腺はめくらずに手術を終わります。
 手術前の画像診断で、どちらの副甲状腺が腫れているかわからない場合、手術中に腫れた副甲状腺が最初にめくった方で見つからなかった場合は、両方の甲状腺をめくって副甲状腺を左右とも検索します。
病歴、家族歴から副甲状腺が全部腫大しているもしくは腫大する可能性がある方は、副甲状腺を全部摘出し、一部を細かく刻んで腕の筋肉の中に移植します(副甲状腺の自家移植)。
 2003年から2008年までに名古屋大学で手術を行った71人の原発性副甲状腺機能亢進症の患者さんのうち、手術前に腫れている副甲状腺を同定できていた患者さんは31人でした。手術方法として、片側だけの検索で手術を終えた患者さんは71人中28人で、両方の甲状腺をめくって両側検索した患者さんは43人でした。副甲状腺の診断の項で説明したことと同様、一般的には片側の検索だけで手術を終えることが多いのですが、名古屋大学で手術した患者さんは71人中多発性内分泌腫瘍症の患者さんが15人、再手術の患者さんが6人、縦隔や甲状腺内という異所性の患者さんが5人と、まれな病状の患者さんが多く含まれていたということが、両側検索が必要となった患者さんが多かった原因と考えています。

手術時間、出血量

手術時間は腫大した副甲状腺が手術前の予想どおりにあった場合は1時間半くらいで終了します。手術前に腫れた副甲状腺の場所がわからなかった場合、手術前の予想と違った場合は、腫れた副甲状腺を探すのに時間がかかります。出血量はほとんどの場合100ml未満で輸血が必要になることは非常に稀です。

 

術後経過

手術が終わって病室に帰ってきた時は、まだ麻酔の影響が残っていてボーとした状態です。3〜4時間程度でかなりすっきりした感じになってきます。当日の夜、もしくは翌日の朝、医師の立ち会いのもとで水を飲んでいただきます。特にむせるようなことが無ければ、その後は水分、お茶などは自由です。翌日の昼から食事が始まります。また、手術中にいれた、ドレーン(キズの近くに入っているやわらかい管)、尿道カテーテル(尿を取る管)も抜いてもらいます。手術翌日にはベッドから降りて身の回りのことは自分でできるようになります。術後の合併症を予防するためにも早めにベッドから離れることをお勧めしています。点滴は術後2〜3日目まで続けます。
 腫れた副甲状腺を摘出すると、血液中の副甲状腺ホルモンは分の単位で低下します。手術後1時間も経過すると、測定感度以下まで低下することもめずらしくありません。副甲状腺ホルモンの低下の速さは、患者さんごとの違いはあまりありませんが、血液中のカルシウムの低下の速さは患者さんごとに大きく違います。手術後に急にカルシウムが低下すると、手足、唇のまわりがしびれるという、低カルシウム症状が出ます。ひどくなると手足の筋肉が硬直して自分で動かせなくなる、テタニーという症状が出ます。手術当日からこのような症状が出ることもあります。ゆっくりとカルシウムが低下すると、手術後に一度もこのような症状を経験しないこともあります。テタニー症状が出なくても、血液中のカルシウムが低下すると顔面神経を刺激すると唇のまわりの筋肉が動くことがあるので、手術後は医師や看護師にほっぺたを指でこつこつとたたかれることがあります。これは重要な診察の一部で、この所見をクボステック徴候と呼びます。一般的に、若い、手術前のカルシウム値が高い、骨がもろい、妊娠・出産後・授乳中などの患者さんは、低カルシウム症状が強く出ます。骨からカルシウムがたくさん溶け出していた患者さんでは、低カルシウム症状が長く続きます。

低カルシウム症状に対する治療は、カルシウムの補充です。飲み薬でカルシウム(粉薬)を飲んでいただきます(カルシウム補充療法)。薬が飲めないとき、症状が強いときは点滴でカルシウムを補います。カルシウムの吸収を良くするためにビタミンDを一緒に飲んでいただくこともあります。薬を飲む期間は患者さんごとに異なりますが、多くは数週間から数ヶ月以内に中止できます。まれに1年以上飲まないといけないことがあります。


術後の疼痛

この手術では首の前、鎖骨より2センチぐらい上を6から10センチ程度切ります。もちろん術後は痛いのですが、術当日に痛み止めの坐薬もしくは注射を1、2回使用するくらいと、その後痛み止めの飲み薬を数日服用する程度で抑えることができます。痛くて痛くて何もできないというようなことはありません。術後、傷だけではなく、ものを飲み込んだりするときも痛みを感じることがありますが、数日でおさまります。手術した首は術後かえってむくんだ感じになることが多く、術後1ヶ月後ぐらいより、今度は締まった感じになってきます。術後3ヶ月程度で元の感じに戻ります。しかし、甲状腺を摘出するために皮膚をはがしているので、皮膚の感覚は完全には元には戻りません。

 

入院期間

手術2日前に入院、とくに問題なければ手術して約1週間以内に退院となりますので、入院期間は全体を通して約10日未満です。

入院費用

あくまでひとつの目安ではありますが、手術のために10日間入院した場合、医療保険(社会保険や国民健康保険など)が適用される医療費は総額65万程度であり、自己負担が3割の方の場合は20万円程度になります。これ以外に医療保険が適用されない費用(病衣代、食事療養費、差額ベッド代など)が必要に応じて加算されます。
 このような高額な医療費を補助する制度として「高額療養費制度」があり、多くの場合、この制度を利用することができます。費用に関して詳しくお知りになりたい方には医事課に担当者がおりますのでご相談ください。

退院後の治療

退院後数回は手術のキズのチェックや副甲状腺ホルモンやカルシウム値が正常に戻っているかなどのチェックをします。その後の通院は再発のチェックおよび必要な方はカルシウム補充療法が主となります。

 

術後の注意

退院後の日常生活の注意点については、特にありません。健常人と同じと考えていただいて結構です。食事も普通で結構です。特に食べていけない食品はありません。この手術を受けた後に正常に出産、授乳できます。日常生活に差し支えはないと考えていただいて結構です。

 

手術の安全性

この手術において、命に関わるような危険性はきわめて低いと言っていいと思われます。しかし別項でも述べますが手術に伴う合併症の可能性はあります

手術以外の治療法

残念ながら、手術以外に亢進した副甲状腺機能を正常化させる方法は今のところありません。上昇したカルシウムを低下させる方法はいくつかありますが、効果は一時的なことが多く、根本的な治療にはなりません。

手術だけで充分?

腫れている副甲状腺をすべて(多くの患者さんでひとつですが)摘出すれば血液中の副甲状腺ホルモンやカルシウムは速やかに低下し手術の目的は達成されます。先に述べたように手術前の検査で副甲状腺がひとつだけ腫れていてその場所がどこか見当がついているときは、片側の甲状腺の裏しか腫れている副甲状腺を探しません。ほとんどの場合はこの1回の手術で病気は完治します。しかし残念ながら手術前におこなう検査で腫れている副甲状腺をすべて正確に診断することはできません。患者さんの中には、探さなかった側の甲状腺の裏に別の腫れた副甲状腺が残ってしまう場合があります(下記注参照)。さらに副甲状腺の場所も必ず甲状腺の裏にあるとは限りません。心臓に近い胸の中にある場合は、いくら頚部を探しても見つかりません。腫れた副甲状腺が残った場合は、手術後も血液中の副甲状腺ホルモンやカルシウムが高いままのことがあります(持続性副甲状腺機能亢進症)。また最初の手術で腫れた副甲状腺を摘出したものの、そのときはまだ小さかった他の副甲状腺があとで次第に腫大してまた同じ病気になることもあります(再発副甲状腺機能亢進症)。この場合は後日再手術を必要となることがあります。また腕の筋肉に移植した方の場合、この移植腺が後に大きくなる場合がありますがこの場合は局所麻酔で摘出できます。

(注)このようなことを防ぐため、腫れた副甲状腺を摘出したあと手術中に副甲状腺ホルモンが十分低下するのを確認することを、術中インタクトPTH測定と呼びます。副甲状腺ホルモンが低下しなければ反対側の甲状腺の裏を捜すという方法で、欧米では普及してきています。当院ではインタクトPTH測定結果が数十分以内に出ますので、通常、術中にインタクトPTHが低下したことを確認しています。

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