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膵内分泌腫瘍

膵内分泌腫瘍とは

膵内分泌腺とは膵臓という内蔵の中にあり、いろいろなホルモンを分泌する目には見えないくらい小さい細胞集団のことです。この細胞の集まりは膵臓の中に島のように点在しています。最初にこの細胞集団を発見したドイツ人の名前をとってランゲルハンス島と呼んでいます。

ランゲルハンス島のある膵臓は上腹部の奥深いところにあります 図(膵内分泌1-1)、図(膵内分泌1-2)。

図(膵内分泌1-1)
図(膵内分泌1-2)

膵臓の一番主要な機能は食べものを分解するアミラーゼをはじめとする消化酵素を腸に分泌する外分泌機能です。膵臓組織のほとんどはこの消化酵素を産生する外分泌線で占められています。正常のランゲルハンス島は肉眼では見えずに顕微鏡で観察してはじめて見つけられるくらい小さいものです 図(膵内分泌1-3)。

図(膵内分泌1-3)

アミラーゼなどの消化酵素は膵臓の外分泌腺でつくられ、膵管という管を通って十二指腸へ分泌されます 図(膵内分泌1-4)。

図(膵内分泌1-4)

ランゲルハンス島の細胞でつくられたホルモン(インスリン、ガストリン、グルカゴンなど)は細胞から直接血管の中へ分泌され血液中に入り全身にまわります。膵臓の静脈は門脈と言って一度肝臓に入ってから心臓へ戻り全身にまわるという特徴がありますので、ランゲルハンス島でつくられたホルモンもまずは肝臓を通ってから全身にいきわたります 図(膵内分泌1-5)。

図(膵内分泌1-5)

ランゲルハンス島でつくられるホルモンには以下のようなものがあります。

インスリン
ランゲルハンス島の中のベータ細胞と呼ばれる細胞から分泌される重要なポリペプチドホルモンです。ブドウ糖の利用、蛋白の合成、中性脂肪の形成および貯蔵を促進し、血糖値を低下させます。このホルモンが不足する代表的な病気が糖尿病です。このホルモンは人工的につくられ、種々の有用な製剤があり、糖尿病の治療に多く使われています。

グルカゴン
ランゲルハンス島の中のアルファ細胞と呼ばれる細胞から分泌されるポリペプチドホルモンです。肝臓グリコゲンの動員を促進し、血糖値を上昇させます。胃運動や胃液および膵液分泌を減少させる働きもあります。

ガストリン
胃の粘膜細胞から分泌されるホルモンで、胃腺壁細胞による塩化水素の分泌を刺激して胃酸を増やす働きをします。同じホルモンがランゲルハンス島から発生する膵島腫瘍で産生されることがあります。

ソマトスタチン
下垂体という脳にある内分泌腺から分泌される成長ホルモン(身長が伸びるのに重要な働きを持つホルモン)の放出を抑制する働きをします。インスリンやガストリンの分泌抑制をはじめ、他にもいろいろな働きがあります。半減期が短いという特徴もあります。

膵ペプチド(pancreatic polypeptide (PP))
食事に対応してランゲルハンス島の細胞から分泌されるホルモンですが、どのような働きをしているかはいまだはっきりわかっていません。

血管作用性腸ポリペプチド(vasoactive intestinal polypeptide (VIP))
非常に稀な膵島腫瘍により分泌されるポリペプチドホルモンで、激しい水様下痢と便中電解質喪失、特に低カリウム血症を引き起こします。このホルモンそのものはグリコゲン分解を促進し、膵の重炭酸分泌を促進すると言われています。