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多発性内分泌腺腫瘍症(MEN)

治療について

多発性内分泌腫瘍症1型

多発性内分泌腺腫瘍症1型の治療は、腫瘍が発生した内分泌腺によりいろいろと異なります。まず一番発生頻度の高い原発性副甲状腺機能亢進症の場合は手術による治療が一番良い治療法です。この病気では血液中のカルシウムが高くなりますが、カルシウムはいろいろなホルモン分泌を促進するという作用がありますので、他の内分泌腺の腫瘍に影響を与えることもあります。手術は副甲状腺を全摘出して一部を患者さんの利き腕でない肘の近くの筋肉内に移植するという方法を行います。副甲状腺がすべて大きくなっているとは限りませんが、われわれは腫大している副甲状腺ばかりでなく腫大してない副甲状腺も摘出したほうが再発する危険が少ないと考えています。副甲状腺という組織は筋肉の中に移植することにより再びホルモンを正常に産生することができる臓器です。頚部の手術を2回以上受けることは癒着のため合併症のおこる危険性が高くなるので、再手術を受けなくてよいように副甲状腺を全部摘出しておくようにしているのです。今まで多発性内分泌腺腫瘍症1型で副甲状腺の移植を行なった患者さんはすべて術後の副甲状腺機能は正常となっています。

下垂体腺腫については手術適応は脳外科医が判断し手術を行います。薬が効く腫瘍ではホルモン値が低下するだけでなく腫瘍そのものが縮小するということもあります。

膵島腫瘍はどのようなホルモンを分泌する腫瘍かによって手術が必要かどうか決まります。インスリンを分泌するインスリノーマの場合は低血糖発作による脳障害の危険がありますので手術による摘出を考えます。腫瘍は多発することが多いので、どの腫瘍がインスリンをたくさん分泌しているのか正確に診断することが大切です。その他のホルモンについては腫瘍の大きさや部位、ホルモン値がどの程度かによって、手術が良いのか薬などの他の治療法が良いのかを考えます。この判断は非常にむつかしいので、専門の内分泌外科医か内分泌内科医の診察を受けることをお勧めします。

多発性内分泌腺腫瘍症1型では下垂体、副甲状腺、膵臓以外にも副腎をはじめとして腫瘍が発生することがあります。この治療についても専門的な判断が必要となりますので、この病気の知識が豊富な内分泌外科医か内分泌内科医の診察を受けることをお勧めします。

多発性内分泌腺腫瘍症2型

多発性内分泌腺腫瘍症2型の治療は甲状腺髄様癌、原発性副甲状腺機能亢進症、副腎褐色細胞腫の治療となります。手術の方法などはおのおのの疾患の項目で説明しています。多発性内分泌腺腫瘍症2型の患者さんに関することについて詳しくは、甲状腺髄様癌、原発性副甲状腺機能亢進症、また副腎褐色細胞腫へ。