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患者様へ病気と治療

膵内分泌腫瘍

病気について

膵臓にできる腫瘍は、悪性のものはほとんどが膵外分泌腺から発生する腺癌で、一般に膵臓癌という場合はこの腫瘍のことです。それに比べて発生頻度は低いですがランゲルハンス島からも腫瘍は発生し、この腫瘍は膵内分泌腫瘍や、膵島細胞腫瘍(すいとうさいぼうしゅよう)、膵島腫瘍(すいとうしゅよう)と呼ばれます。ランゲルハンス島から発生した腫瘍は、外分泌腺から発生する膵臓癌と比べて腫瘍の増殖速度や悪性度、ホルモン産生能、血管の分布などいろいろなことが異なっており、治療方針や手術方法も異なってきます。したがって膵内分泌腺に発生する腫瘍は、病気のことをよく知った内分泌外科医が治療を担当するのがよいと考えます。

ランゲルハンス島は何種類かの細胞が混じっており、インスリンを分泌する細胞はベータ細胞、グルカゴンを分泌する細胞はアルファ細胞と呼ばれています。ベータ細胞から発生してインスリンをたくさん産生する膵島腫瘍はインスリノーマ(インスリン産生膵島腫瘍の意味)、アルファ細胞から発生してグルカゴンをたくさん産生する膵島腫瘍はグルカゴノーマと呼ばれます。複数のホルモンを同時に分泌する腫瘍もあります。

膵臓のランゲルハンス島から発生する膵内分泌腫瘍はホルモンを過剰に産生するタイプ(機能性)と産生しないタイプ(非機能性)にわけて考えられます。幸い機能性、非機能性の腫瘍ともに悪性のものは少なく、ほとんどが良性の腫瘍です。機能性腫瘍では過剰に産生されるホルモンによって腫瘍に名前が付いています。インスリンを過剰に産生するタイプはインスリノーマ、グルカゴンを過剰に産生するタイプはグルカゴノーマ、ガストリンを過剰に産生するタイプはガストリノーマと呼ばれています。ソマトスタチンや膵ペプチド、血管作用性腸ポリペプチドを分泌する腫瘍は悪性のことがありますが幸い非常にまれで、おのおの分泌されるホルモンの名前からソマトスタチノーマ、PPオーマ、VIPオーマと呼ばれます。これら機能性腫瘍の場合は、ホルモン過剰による障害(低血糖、胃十二指腸潰瘍など)を治療するために手術が必要になることがあります。手術そのものが簡単なものではないため、どのような治療が最適かは患者さんひとりひとり異なりますので、よく考える必要があります。膵内分泌腺腫瘍の治療の項目を参照してください。非機能性腫瘍の場合は、腫瘍の大きさや形、部位によっては手術の適応となります。

膵内分泌腫瘍の原因について

残念ながら機能性、非機能性腫瘍ともに、その原因に関してはほとんど解明されておりません。膵内分泌腫瘍の一部には、メニン(MENIN)遺伝子と呼ばれる癌抑制遺伝子の異常が原因で発生することがあります。多発性内分泌腺腫瘍症という病気の場合で、膵内分泌腫瘍がこの病気の最初の症状ということがあります。多発性内分泌腺腫瘍症については別の項目に説明があります。