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膵内分泌腫瘍

診断について

膵内分泌腫瘍の診断で重要なことは腫瘍の存在を確認すること、腫瘍がある場合はどの部位にいくつあるか、またどの腫瘍がどのホルモンを過剰に産生しているかを正確に診断することです。

腫瘍の存在を確認する検査は、エコー、CT、MRIなどの画像検査を行います。それぞれの画像検査は腫瘍の大きさ、腫瘍の性状、周囲臓器との関係を調べるだけでなく、周囲への浸潤傾向が無いかどうかをみるためにも重要です。もし浸潤傾向が認められた場合は悪性の可能性があるため手術の方法や手術以外の治療法も考えないといけないからです。造影剤を注射して特別のタイミングでCT検査をすることで、膵内分泌腫瘍が造影剤で濃くうつる性質を利用して、通常のCT検査より精密に診断することができます。紹介元のCT検査を持参された場合でも、精密な診断が必要な場合はもう一度CT検査を行わせていただくこととなります。これらの検査は腫瘍の位置や大きさを把握して、外科的治療の正確な計画を立てるのに重要です。

ホルモンを過剰に産生しているかどうかを調べる検査は、血液中のホルモンを測定することで診断が可能です。インスリンの場合は空腹時に採血した場合と食後に採血した場合で大きく値が異なります。インスリノーマの場合、診断がむつかしい場合は繰り返しの採血検査や、絶食試験という検査を受けていただくことがあります。いずれも入院での検査となりますが、水以外の飲み物や食事を絶って血液中の糖分が低下するのを待ち、そのときのインスリン値を測定するものです。インスリノーマの場合はいくら血糖値が低くなってもインスリンが分泌されるため、血糖値が低いのにインスリン値が高いという結果になります。血糖値がある数値以下になると脳細胞が障害を受けますので、絶食試験は入院して厳密な管理のもとに行わなければいけません。

膵臓に腫瘍性病変があって血液中のインスリンが高くても、その腫瘍がインスリノーマであるか、インスリノーマであってもひとつだけなのか、ということを正確に診断しておくことが、手術計画を立てる上で重要なこととなります。インスリノーマがひとつだけであれば、腫瘍核出術という腫瘍だけを摘出する手術で病気は治癒します。しかし大きなインスリノーマ以外にも小さい腫瘍が多発している場合は、腫瘍がある部位を含んだ膵切除術が必要となります。またインスリノーマがひとつだけであっても、主膵管というアミラーゼを含む消化酵素を十二指腸へ排出する管に接して腫瘍があれば核出術は危険かもしれません。(膵内分泌腫瘍手術の合併症の項を参照してください)