名古屋大学大学院医学研究科 医療薬学・医学部附属病院薬剤部

患者さんへ

自動車運転に注意を要する薬

自動車運転等に注意を要する薬剤

はじめに

お薬は、病気を治す、病気の進行を抑える、症状を緩和するなど患者さんにとって必要なものです。
しかし、適切に使用(服用)していても、好ましくない作用(副作用)が起こってしまうことも少なくありません。 その中でも、眠気、めまい、ふらつき、目のかすみなどの副作用が起こりやすいお薬があり、そのようなお薬は自動車運転や高所での作業、危険を伴う機械の操作等が制限されています。このようなお薬を使用(服用)して実際に自動車事故に至った事例も報告されています。
私達薬剤師は、該当するお薬を使用(服用)している患者さんに対して、お薬の危険性を正しく理解していただくため、自動車運転等に関する説明を行っています。

自動車運転等に注意を要する主な理由

薬効分類 副作用
制吐薬、麻薬、鎮咳去たん薬、止しゃ薬 眠気、めまい
血圧降下薬 めまい、ふらつき
アレルギー用薬、片頭痛治療薬 眠気
排尿障害治療薬 眼の調節障害(見えにくい、目がかすむ)、眠気、めまい
抗不整脈薬 眠気、めまい、しびれ
アルツハイマー治療薬 眠気、めまい、意識障害
解熱鎮痛薬 眠気、めまい、意識消失
抗てんかん薬 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下
抗パーキンソン薬 前兆のない突発的睡眠、傾眠、眼の調節障害(見えにくい、目がかすむ)、注意力・集中力・反射運動能力等の低下
催眠鎮静薬、抗不安薬、精神神経用薬 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下
抗生物質 めまい、羞明(まぶしい)、霧視(目がかすむ)、視覚障害(目がチカチカするなど)
抗ウイルス薬 けいれん、鎮静、めまい、運動失調、錯乱
散瞳薬 散瞳(まぶしい、見えにくい)、調節麻痺(ピントが合わないなど)が回復するまで中止

※主な薬効に記載された薬剤全てに症状が起こるわけではありません。

注意点

  • 睡眠薬などは、服用した翌朝以降にも眠気などの影響が及ぶことがあります。   
    自覚症状に十分注意し、服用した翌日も自動車運転等を控えてください。
  • 飲み薬以外の外用薬(点眼薬、坐薬、貼付薬など)でも副作用症状が起こる場合があります。
  • 自動車運転だけでなく、高所での作業や危険な機械の操作等も控えてください。
  • 「病名(てんかんなど)や症状」を理由に一律で自動車運転等を制限するわけではありませんので、 医師から運転の可否についてすでに指示がある場合はその指示に従ってください。
  • 病状の安定化のためには、医師の指示通りにお薬を使用(服用)することが大切です。自動車運転をするために自己判断で使用量(服用量)を変更したり、自己中断をしたりしないでください。
豆知識

~インペアード・パフォーマンスについて~  
 お薬によってよく問題となる「眠気」は、自覚できる副作用です。そのため、気づいた時点で対処できます。
しかし、お薬の使用によって、自覚のないまま集中力や判断力が低下している状態(インペアード・パフォーマンス)が起こる場合があります。 この場合、思わぬ事故やミスを引き起こす恐れがあります。このような自覚のない副作用が起こる可能性についても十分な注意が必要です。

当院での自動車運転等に関する情報提供

  • 添付文書で「自動車運転禁止」の記載があるお薬を当院で処方された場合は、  
    「薬袋(お薬が入っている袋)」および「薬剤情報提供用紙(お薬の説明文書)」に注意点を記載しています。
  • ご不明な点がありましたら、お気軽に薬剤師へご相談ください。

自動車運転を控える必要のある医薬品一覧(院内で取り扱いのあるもの)

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