名古屋大学大学院医学研究科 医療薬学・医学部附属病院薬剤部

医療薬学研究室紹介

研究分野および概要

研究分野および概要

研究室概要

薬物療法では様々な副作用が発生する可能性があります。副作用の発見や重篤化回避には、薬理学に加え、薬物動態学、医療薬学的側面を踏まえた検討が有用です。私たちは、薬物血中濃度を測定して薬物動態を解析すると共に、母集団PK/PDモデルを用いた薬の効果や副作用との関連を探索しています。

また、神経精神疾患や高次脳機能について研究を行っています。神経精神疾患研究では統合失調症、薬物依存症およびアルツハイマー型認知症などについて、それらの病因/病態生理学的意義を明らかにしたいと考えています。また、高次脳機能に関する研究では、学習記憶や情動、さらには、やる気や意思決定に関わる分子・細胞生物学的メカニズムの解明を目指しています。

主要な研究課題

1. 薬物療法の安全性向上・多職種協働における薬剤師業務の有用性評価

薬物療法では様々な副作用が発生する可能性があります。これらの安全性向上のため、まずは副作用発現のリスク因子を探索し、リスクに応じた症状モニタリングや支持療法、投与量の検討することで、副作用の予防や軽度で留めるなど適切にマネジメントし、より安全な薬物療法を目指します。また、薬物動態は個人差が大きく、吸収・分布・代謝・排泄の各段階や薬物相互作用など多面的に評価検討し、治療の個別最適化を図っていく必要があります。そこで薬物血中濃度を測定して薬物動態を解析すると共に、母集団PK/PDモデルを用いた薬の効果や副作用との関連を探索します。

薬剤師は、様々な職種と協働しながら薬物療法を様々な点から評価分析し、薬剤業務を展開します。臨床現場で直面する問題点や情報が不足している点について、薬学的な観点から追究し、より安全で有効な薬物療法を目指します。並行して、薬剤師業務や職種間の協働について客観的に評価する研究にも取り組んでいます。一例として、外来患者さんの診察前に薬剤師が面談し、きめ細かな副作用対策や説明を行い必要に応じて主治医に提案する取り組みを行うことで、副作用が軽減され薬物療法の効果も高いことを報告しました。これらの有用性を社会に発信すると共に、さらなる改善点について検討しています。

2. 精神疾患、神経変性疾患の病態解明と創薬

統合失調症は、約 100 人に 1 人の割合で発症する重篤な精神疾患です。現在の治療薬は、幻覚・妄想などの症状には効果を示しますが、気分の落ち込みや認知機能の低下に対する効果は非常に乏しいことが課題です。統合失調症は、さまざまな遺伝要因にストレスなどの環境因子が加わることで発症すると言われていますが、そのメカニズムはいまだ解明されていません。一方、全世界の神経認知障害患者が 4000 万人、対策費用 100 兆円を超える時代となり、神経認知障害の研究は世界との競争が激しい分野の一つです。アルツハイマー型認知症 (Alzheimer's disease: AD)は進行性の神経変性疾患であり、記憶障害を主症状とします。AD 発症よりも早期から病態の進行は始まっており、プレクリニカル期や軽度認知障害時での早期発見、治療、機序の解明が AD 病態の理解と新たな AD 治療戦略へと繋がると考えられています。これら疾患のモデルマウスを用いて、病態解明と創薬標的分子の探索を行っています。

さらに、意思決定障害の神経基盤の解明、欲求に基づいて行動の開始(意思決定)を促す「意欲・やる気」の神経基盤についても研究を行っています

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