名古屋大学大学院医学研究科 医療薬学・医学部附属病院薬剤部

薬剤部紹介

業務内容(各室紹介)

薬剤部は、東病棟1階に位置し、適正な薬物療法を支援するために、医薬品の管理、供給、情報の提供および患者さんへの服薬指導を行っています。患者さんにとってより安全で有効な、また経済的にも優れた薬物療法を提供できることを目標にしています。

調剤室

room01.jpg

調剤室では、外来患者さん、および入院患者さんのお薬を調剤しています。複数の診療科からお薬が重複して処方されていないか、飲み合わせの悪いお薬がないかなど、処方箋の内容をコンピューターシステムを用いてチェックするとともに、複数の薬剤師の目でも確認しています。また、医薬品の品目・数量についても複数の薬剤師で確認し、調剤過誤(調剤まちがい)が起きないよう細心の注意を払っています。お薬の効能や服用の際に注意していただきたい事項を記載した文書をお渡しできます。希望される場合は、処方医にお伝え下さい。

お薬相談窓口

room10.jpg

お薬相談窓口では、外来患者さんへの院外薬局のご紹介や、お薬に関するご質問などを受けております。お気軽にご相談下さい。
(受付時間:平日8時30分~16時45分)

注射調剤室

room02.jpg

注射調剤室では、注射薬の取扱いを行っています。入院患者さんに処方された注射薬を、1日分ずつセットをして病棟へ供給します。複数の薬剤師で、品目・数量、投与経路・投与量・投与速度、混合しても問題ないかなどをチェックします。また、病棟や外来の診察室に配置している注射薬を定期的に点検し、品質や有効期限のチェックを行います。

一般製剤室・無菌製剤室

製剤室では、高カロリー輸液などの注射製剤の無菌調製、入院抗がん剤の無菌調製およびレジメンの管理・チェック、院内製剤の調製・管理をおこなっております。 食事が摂れない患者さんに対して栄養となる高カロリー輸液や感染のリスクが高い患者さんの持続投与の注射剤を、その組成が病態に適正なものであるかどうか確認した上でクリーン度を高めた無菌製剤室のクリーンベンチ内で調製します。
入院患者さんの注射抗がん薬治療に関しては、副作用を防ぎ安全な治療を行うために、適応がん腫、投与量、投与スケジュール、臨床検査値などを薬剤師がチェック(監査)した上でクリーン度を高めた安全キャビネット内で調製します。
院内製剤とは、医薬品として市販されていない、もしくは効果が得られない場合に対して、それぞれのニーズに合わせて薬剤師によって病院内で薬を調製し、使用する薬のことをいいます。院内製剤は、内服薬、外用薬、注射薬などを様々な剤形があります。

外来化学療法室

外来化学療法室

外来患者さんが抗がん薬の点滴を受ける外来化学療法室では、個々の患者さんの抗がん薬の投与量や投与スケジュールなどの医薬品適正使用について複数の薬剤師が確認し、必要に応じて医師に問い合わせ(疑義照会)を行っています。外来化学療法室内に設置された無菌室で注射薬を調製しています。また、電子システムを用いて抗がん薬の種類や投与量について正確に調製できていることをチェック(鑑査)し、ヒューマンエラーの削減に取り組んでいます。また患者さんが治療による副作用で苦労している時、治療に対する不安や心配がある時、内服薬の服用方法が分からないとき、痛みなどがんに伴う症状に対する治療の薬で困っている時には安心して薬物治療を受けられるよう、必要に応じて薬の説明(服薬指導)を実施しています。薬剤師は、医師、看護師とともにチーム医療の一員として患者さんが安心して抗がん剤の治療を受けることができるよう、努めています。

試験室

room05.jpg

試験室では、血液中の薬物の濃度を測定し、有効な濃度であるか、または副作用が発現してしまう濃度でないかをチェックしています。測定するお薬は、吸収・分布・代謝・排泄といった個人差の影響を受けやすいもの、血液中の有効な濃度域が狭いもの(投与量の調節が難しいもの)などです。また、必要に応じて検査結果や病態を基に、病棟担当薬剤師や院内の感染対策チームと連携しながら、適切な投与方法・投与量を医師に提案し治療に役立てていただいています。

現在、試験室で測定しているお薬は、抗菌薬(バンコマイシン、テイコプラニン、アルベカシン、アミカシン、ゲンタマイシン)、免疫抑制薬(ミコフェノール酸モフェチル)、抗腫瘍薬(メソトレキサート、ブスルファン)などです。さらに、個々に合わせた最適な薬物療法が行えるように薬物血中濃度測定法の開発にも取り組んでいます。

薬務室

薬務室は、名大病院内で使われるすべてのお薬の購入窓口であり、患者さんに必要とされるお薬を、納入業者(医薬品問屋)を通じて医薬品メーカーより購入しています。また、薬剤部の薬品が在庫切れを起こさないよう、また過剰在庫とならないよう、管理しています。

薬品情報室

薬品情報室では、薬物治療におけるお薬の適正な使用方法や副作用の情報、新薬についての情報など、さまざまな情報を収集・管理しています。患者さん、および医師をはじめとする医療従事者からのお薬に関するお問い合わせに対応しています。また、電子カルテシステムにおいて、お薬に関する情報のメンテナンスを行っています。さらに、名大病院で取り扱うお薬の採用、不採用を決定する委員会(薬事委員会)の事務局を務めています。

薬歴管理室

room08.jpg

全ての病棟に担当薬剤師がいて、患者さんが入院前に服用していた薬剤の確認、入院後に開始される薬剤の説明、退院時のお薬手帳を用いた調剤薬局との連携などに関わっています。病棟薬剤師は医師・看護師と協力しながら患者中心のチーム医療に参加して役割を担うことで、全ての入院患者さんに安全・安心で質の高い薬物療法が提供できるよう努めています。入院中にお薬について不安や疑問・相談などがございましたら、いつでもお気軽にお声をかけてください。

高度医療薬剤支援室

ICU(集中治療室)、NICU(新生児集中治療室)ではチーム医療の一員として医師、看護師、臨床工学技士などと共に、急激な全身状態の変化に対して適切な薬物投与がされることを支援しています。薬の提案や使い方の確認、麻薬を含む様々な薬の在庫管理を担当し、NICUでは注射薬を薬剤師が無菌的に調製しています。

医薬品安全管理支援室

医薬品安全管理支援室では、より安全で質の高い医療を提供できるよう、薬剤部におけるインシデント情報の集積と分析、事故予防策の検討を行い、部内へのフィードバックを行っています。また、医療の質・安全管理部との検討会では、院内全体での医薬品に関連するインシデントの検討を行い、薬剤師の観点から医療安全にかかわっています。

麻薬室

麻薬室麻薬室医療用麻薬はがんの痛みや手術に伴う痛みの治療などに用いられます。その種類は年々増加しており、剤形も錠剤や貼付剤、坐剤や注射剤に至るまで多岐に渡っています。麻薬は乱用防止の目的で日本国内では麻薬及び向精神薬取締法で規制され、堅固な金庫内で保管するなど厳重な管理が求められています。麻薬室では麻薬の調剤や廃棄、帳簿管理、行政への届け出書類作成を法に基づいて行っています。
また手術室に常駐し注射麻薬を中心に麻酔薬や筋弛緩薬の管理を行うことも我々の重要な役割です。手術毎に術中に使用する注射麻薬を個別セットし、術後疼痛に対するiv-PCA(自己調節鎮痛法)に用いられる麻薬の無菌調製も行っています。当院では注射配置薬リスクマネジメントシステム(写真)を導入し、手術室全体の管理薬剤(静脈・吸入麻酔薬、筋弛緩薬、向精神薬)を一元管理しています。薬剤師はこのシステムを用いていつ誰が、どの薬剤を何本持ち出したのかを常に把握し、医薬品の安全管理に貢献しています。

未承認新規医薬品等管理室

名古屋大学医学部附属病院は、特定機能病院として承認されています。平成28年6月の医療法施行規則の改正により、特定機能病院の承認要件が見直され、未承認新規医薬品等を用いた医療の対応について定められています。
未承認新規医薬品等管理室では、未承認新規医薬品、未承認薬、適応外、禁忌薬の使用申請に関わる業務を行っております。各診療科等から提出される申請書類をもとに治療の必要性及び妥当性を確認し、薬剤部に設置された未承認新規医薬品等評価委員会に審査の依頼をします。委員会からの意見を踏まえて、医薬品安全管理責任者が使用の適否について決定します。また、使用の適否の決定後は、患者への説明と同意の取得、有効性、安全性など、適正に使用されているか等の確認を行います。

治験薬管理室

治験薬管理室治験室管理室薬事承認前の薬剤である治験薬は、安全性・有効性が未確立であるため、市販されている医薬品以上に慎重に取り扱う必要があります。
治験薬は治験ごとに定められた治験薬管理手順書に従った管理が求められます。管理手順を当院の運用に合わせて調整し、治験を実施できる体制を作ることが治験薬管理室の役割です。近年は国際共同試験が増加しており、国際標準の厳格な治験薬管理が求められています。24時間の温度管理体制の整備や、海外仕様のwebシステムを利用した治験薬の割付・払出しの対応を日常的に実施しています。
また、治験薬の調剤の際には被験者さんの同意取得の確認、治験期間中の投与スケジュール確認、併用禁止薬剤の確認等をCRCと協同で実施し、円滑な治験遂行に努めています。
なお、治験薬以外に機器や再生医療等製品を用いた治験の場合にも、治験薬と同様に各治験の管理手順書に沿った保管・管理をしています。

© Nagoya University School of Medicine. All Rights Reserved.