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脳神経外科学
様々なモダリティを使った脳機能コネクトームマップの作成と次世代の脳外科手術への展開
名古屋大学脳とこころの研究センター・医学系研究科脳神経外科 特任教授 前澤聡
名古屋大学 医学系研究科脳神経外科 病院講師 中坪大輔
近年、脳機能画像解析における技術が革新的に進歩しています。脳神経外科領域においては、これらの新しい知見を手術計画や手術方法の改善のために活用する事を目的として、脳とこころの研究センターで様々な研究をしています。
その一つが脳波―機能的MRI同時記録です。国内でもあまりないこの設備を用いて、主にてんかんの焦点診断の研究を行っています。
図1:脳波-機能的MRI同時記録の解析の流れ
図2:19歳女性,左帯状回てんかん症例での解析結果。てんかん焦点部位に焦点領域を確認できる。
ほかにも安静時機能的MRIや脳磁図(MEG)の様な様々なモダリティを使って、多角的に脳内ネットワーク(コネクトーム)を調べて、術前情報として応用する研究をしています。
図3:様々なモダリティのてんかん外科におけるコネクトームマップ作成
実際の手術において、ロボットアームを使って脳深部の脳波を記録する方法(SEEG)があります。このデータ解析の研究も行っています。
図4:定位的深部電極留置による脳波記録:定位脳外科手術のためのロボットアームを使用
図5:SEEGの様子:数本の深部電極より脳波を記録する事で、てんかんの起始部がわかる
覚醒下手術という、手術中に目を覚ました状態で機能を確認しながら脳の病変を取り除く手術もありますが、その際に得られるデータを使って解析する研究をしています。
図6:覚醒下手術により、てんかんの焦点をほかの脳機能を確かめながら切除
名古屋共立病院にある超音波集束治療装置を使って本態性振戦を治療する新しい方法がありますが、これに関しても、より改善を図るために共同研究を行っています。
図7: 本態性震戦(ふるえ)の新しい治療:集束超音波(FUS)による視床凝固術
らせん図をかいてもらうと、術前はふるえが目立つが、術後はスムーズに書けているのがわかる。
図9:ふるえの改善率:大半の患者で70~80%の改善がみられる。