TAVI中の経食道超音波検査(TEE)

TAVIにおいては、留置する弁のサイズは手術前の造影CTで決定します。手術中の弁留置は造影や弁の石灰化などを透視(X線装置)で見てそれを指標に行います。
その意味では、TAVIにおいて経食道心エコー(TEE)は、主たる留置位置ガイドの手段 ではありませんが、合併症のモニタリング手段として大変重要です。TAVIでの合併症は重篤となることも多いため、我々はワイヤーの位置の確認や術中の弁逆流増悪のチェックや心収縮能などを、TEEを用いて手技中に終始評価しています。また、合併症が起きた際の迅速な診断のため比較対象を知っておくことが大切であり、術中の評価だけでなく術前の状態(心嚢水や弁膜症、心収縮能)の状態の確認も大切と考えています。
留置後は特に、弁周囲逆流(PVL)評価が重要ですが、 円周方向到達度(circumferential extent)を中心に AR到達度やVena Contractaの幅やエリア、下行大動脈の拡張期逆流波形などで評価しています。

なお間質性肺炎などの肺疾患がある場合など、気管挿管をしないで(全身麻酔を避けて)TAVIを行う場合はTEEなしで、経胸壁心エコー(TTE)での評価で治療を行います。

 

エコー担当医としては 手術の流れ・合併症のタイミングや種類を理解して、術中・術後の評価を行っていますが、 「術者が今何を気にしているか」を常にイメージするようにしています。

麻酔科医やMEさんなど他のハートチームメンバーの近くで仕事することが多く、術者とは少し違った視点ももって参加しています。
「今ワイヤーの位置は大丈夫?」という術者の声や 「ちょっとデバイス引けてますよ」 などエコー医の声が手術中にすぐかかることはいいチームの証だと思います。

 

(文責 三木裕介)

2020年06月19日