碓氷章彦教授 最終講義とメッセージ

心臓外科学を歩んで
外科学の目標は最高の手術です。新規技術を開発し、その成績を評価し、問題点を抽出し、改善につなげなくてはなりません。改善した技術に対し、再び成績評価を行い、更なる改善策を模索します。この繰り返しが「外科学」と考えています。新規技術は成績が安定すれば、一般的技術として受け入れられ、普及率はプラトーに達し、「S字状カーブ」を呈します。また、技術の普及率は、その技術の侵襲性と治癒率に左右されます。侵襲性が低いほど普及率は高くなり、多少の治癒率の低下を凌駕してしまいます。最終講義では、本邦の心臓外科手術数から「S字状理論」を検証します。

私は、外科医として40年間心臓外科学を歩んで来ました。心臓外科学の到達点は遥かに高く、まだまだ道半ばですが、充実した楽しい道程でした。「好きな仕事を全力で行う」 ことが幸せな人生だと思います。皆さんには、「打ち込むことのできる専門分野」を是非見つけて頂きたいと思います。

 

2022年3月  碓氷章彦

 

 

2021年度退職記念講義

 

2022年10月24日|ニュースのカテゴリー:非掲載