名大病院TAVI標準的手順書 バルン拡張型弁(医療従事者向け)


当院ハートチームではハイブリッド手術室で行う 血管内治療全例で個々の例に応じた手順書を事前作成しチーム内で共有しています。

以下はバルン拡張型TAVI弁の 標準的留置手順書の例です

(免責事項 あらゆる医療手技は実施医師の個別の責任のもと実施されてください)



典型的手術手順  <Sapien3>
1. DCパッド装着 右肘ならびに左肘はBA穿刺部をマークし外反位置で穴コン消毒他型通り消毒。
2. 左鼠径FV, FA puncture。FV 6Fr long (for Pacemaker)穿刺いったん仮固定 左FA6Fr穿刺固定
3. アクセス側 puncture。FV穿刺、シースは入れずワイヤーのみの状態で、FA穿刺へ。エコー下にpuncture 6Frのシースを入れる。FVの6Fr longシースも挿入する。メスでカットした上でFAのシース周囲を十分剥離する。その上でproglideを2本かける。1本めは正面で、2本めはやや角度をずらしてかける。proglideの糸は閉めずに結び目の部分は外に出して固定しておく。2本掛けたあと9Frシースを挿入する。
4. パッケージ開けてDevice準備開始 
5. (穿刺成功後) ヘパリン投与 (ACT測定)
6. 左FVからAPにてtemporary pacingをRV apexに留置 閾値確認。 動かないように固定 布かけ slight inflation.(1ml;回収時にはdeflateする)
7. 造影Pigtailを大動脈基部に送る Pigtailアシスト接続 
8. 予測Perpendicular View <厳密に術前計測しておく>15ml/s /10mlでrapid pacing下に基部造影 この段階で石灰化との弁輪部との位置関係 弁輪部とバックグラウンドの情報の関係を確認
9. メインアクセス、0.035radifocus(RF)とJR4を進め、遠位上行に留置。RFは抜きそれを介してe-sheathを入れるためのstiff wireとしてAmplazer Extra stiff (AES) を留置(最近はエゴイストを使用) 
10. 内筒付き14Fr e Sheathを奥まで留置 内筒抜去
11. AESはJR4を介して抜き、JR4を上行に留置 透視をperpendicular viewとして、 0.035 straight wire(J-coil wire) +JR4でA弁通過 (2nd option AL2.0)
12. 通過したら直ちにRAO30度としてstraight wireはLV midまで進める 
13. そこまで行ったところで少し clockwiseにしながらJR4を落とし込む straight wire を抜く
14. (省略可能)JR4を介して、J-tip wire(dual flexの反対) を入れる LAOに振り直して前乳頭筋の方向 画面右へGWが行っていないか再確認する その後またRAO30に戻す  AESを介してpig tailを進め左室内に座らせる pigtailを使用の場合は RAO30にてわりと基部よりで6の字が正面視できてる形が良い )
15. Safari stiff wire XSを進める LV内に座るSafari GWの安定確認 TEEでGW確認MR悪化なしか確認
16. Safariの安定しつつあるすこし前ころにTHVのCrimp
17. <BAV > Perpendicular View血行動態を確認  BAV balloonは陰圧をかけてからシースに入れないと抵抗が強い BAV balloon 16cc for 20mm <BAVは特に石灰化が強い場合(bulky cusp)あるいは5m/sを超えるようなcritical stenosisの場合に考慮>
18. BAV前にPigtailはSTJ上に引く Rapid pacing下に BAVを施行。full inflation後に造影 5ml/s /10ml 冠動脈の状況 石灰化の挙動などを確認 TEEと造影見返し。
19. 再びPigtailを弁上まで進めてマーキングとする
20. Wire先端確認しTHV Delivery system進めるロゴマーク上フラッシュポート向こう。 AP view。  
21. <弁アラインメント>下行大動脈でTHVを正対視する角度<CRA20度 ただし伸び方次第>にて弁アラインメント。アラインメントポジション(unlock-シャフトを1本線まで引き戻し-忘れずlock)+ダイヤル微調整(さらにシャフトを引き戻す=反時計回し)を行う GWが抜けうるので先端注視 この作業時 助手が必ずGWを保持する(画面内にLV)。
22. Flexホイール回しつつ 大動脈弓を通過 <角度 弓部角度LAO45度> ノーズコーン通過する前に一旦停止ノーズコーン通過する前に Perpendicular viewに。 通過しない場合の対応→flexを調整、Wireをセンターへ(少し引く) counterに手前に回す (とより後ろ向きになろう)
23. 血行動態確認(PM、呼吸器準備確認)し THV通過 そしてフレックスCathをトリプルマーカー中央部まで引き戻し(unlock-引き戻し-lock) この作業で若干LV側に落ち込むので位置調整 忘れずGWがCoaxialとなるように調整  弁尖石灰化よりTHV上端が上にあること確認 トリプルマーカー(シース),シースのロック, coaxialty, GW, PM,
Coaxial維持が重要 THV clockwiseに回したり  GW押しを緩めたりして調整
24. 基部造影を施行 短期間のrapid pacing下に行う 造影5/10 マーカーで位置調整<弁輪 センターマーカー下縁やや下で> Pigtailは位置決め後STJに引く  ここで完璧に位置決めする 
25. <THV deploy> Rapid pacing下にTHV deploy. rapid pacing HR180 BP下りつつあるときに造影5/10 (これで位置が違えば位置を動かしそのままdeployするのではなくて いったんdeployを中止する)  さがりきった降圧確認 麻酔科は血圧下がりましたどうぞと言う  そのままslow inflation(2ml程度だけ入れる) 弁はいったんわずかに頭側に持ち上がり(バルーンの影響で)そして固定されLV側が短縮していく挙動  調節しつつ full deploy.  full deploy後 5秒数えてdeflateしpacing off.  <6atmに達しないようにが望ましい>
26. Wire保持してすぐにDeviceを引く GWを中央に持ってきてTEE確認。ARはある程度容認する。
27. device回収決定 Systemをde-flex  シースに入れる前にデフォルトPositionに。 デフォルトポジションでdeviceを抜去
28. Pigtailを入れそれを介してSafariをLVから抜去。
29. Safariを抜いたらe-sheath抜去のため カテを介してAESを入れておく
30. 最終基部造影 deviceの上縁に接する位置までpigtailを下げ 十分な造影効果が得られる位置をもって造影5/10(USでcoaxialにしてもリーク多いような場合はTHVを回収前 GWを左室に残したまま造影する)
31. AESが入ったらGW交換のカテは抜き AES越しにe-sheathに忘れずダイレーター内筒を入れいれたまま抜去
32. 一人が圧迫をしながらproglide1本目を引っ張るのみで締める、それにて締り具合を確認。良さそうであればAESを抜去し、その上で、ploglideをプッシャーを使用し最後まで締める。もし止血が悪ければ、2本目を締める。2本目を締めても止血が悪い場合は、シースを挿入Angiosealの追加も考慮。圧迫追加。プロタミン投与。メインの止血に目処が立てば対側もプログライド使用し止血、圧迫
33. 手術終了

 

2021年05月30日|ニュースのカテゴリー:TAVI