TAVI後の抗血栓療法(抗凝血療法)3

TAVI後の抗血栓療法について③ ~抗凝固薬を内服している患者さんの場合~

心房細動などの抗凝固療法が適応となる疾患を持っている患者さんへのTAVI後抗血栓療法について検討したのがPOPular TAVI試験(cohort B)です。この試験では、TAVI治療前から、抗凝固療法が適応となる疾患を持っている患者さんを対象に、TAVI後の抗血栓薬として抗凝固薬単剤群と、抗凝固薬+クロピドグレルの2剤療法を3か月間行い以後は抗凝固薬単剤とする抗凝固薬+クロピドグレル群に分けて、出血イベントなどを比較検討しています。抗凝固薬の選択はTAVI前から内服していたものを継続することになっており、ビタミンK拮抗薬でもDOAC(直接経口抗凝固薬)でもよいです。結果は、抗凝固薬単剤群で出血イベントが有意に少なく、心血管死亡+虚血性脳卒中+心筋梗塞の複合イベントも非劣勢でした。また、ビタミンK拮抗薬よりもDOACの方が出血を減らせる可能性が指摘されています。(参考文献)

●当院で留意していること
TAVIを受けられる患者さんで、心房細動などの抗凝固療法が適応となる疾患をお持ちの場合の、最適なTAVI後抗血栓療法はまだ定まっていません。当院では、患者さんの背景や出血/血栓塞栓リスクを考慮して、最適と思われる方法を選択しています。


(参考文献)
Nijenhuis VJ, et al. “Anticoagulation with or without Clopidogrel after Transcatheter Aortic-Valve Implantation” N Engl J Med. 2020 Apr 30;382(18):1696-1707.


2020年06月26日|ニュースのカテゴリー:TAVI