劇症型心筋炎

劇症型心筋炎

心筋炎は、ウイルスや自己免疫、薬剤への過敏症などが原因で、心臓に炎症が生じる病気です。発熱や倦怠感など、心筋炎だと疑うのが難しい症状で発症することが多いため、受診が遅れたり診断するのが難しい病気です。病院を受診した時や、診断された時にはすでに重篤になっていることも多い病気です。

炎症が強い場合に心臓の機能が強く障害されると、各臓器に十分な血液が行き届かなくなってしまう(多臓器不全)ために、心臓の働きを強める薬や、心臓の働きをサポートもしくは代わりをする補助循環といわれる機械が必要になることがあります。このような重篤な心筋炎を、劇症型心筋炎といいます。残念ながら、現在でも劇症型心筋炎は20-60%程度と死亡率が高い病気です。

劇症型心筋炎は、心臓の炎症自体を抑えることと、心臓の機能が障害されている間に機械的補助循環を用いて多臓器不全を予防することが治療の柱となります。心臓の炎症自体を抑えるには、一部の心筋炎に免疫抑制薬が有効であることが知られています。機械的補助循環には、IABP・VA-ECMO・Impellaといった経皮的に用いる機械から、体外式LVAD・Central ECMOといった手術で用いる機械があります。劇症型心筋炎では、病気の状態に応じてこれらの機械を使い分け、適宜変更しながら治療を行います。

当院は、機械的補助循環のあらゆる選択肢を持ち合わせており、どのような内科的治療・外科的治療が最適かを心臓外科・循環器内科で相談し協力しながら、集中治療室で集学的に治療を行っています。劇症型心筋炎について、全国有数の治療経験があります。

劇症型心筋炎の患者様を救命するには、心筋炎の、より早期の状態からのどのような治療を行うかが重要となります。そのため、劇症型心筋炎だけでなく、心筋炎が重篤化する前の状態であっても、いつでもお気軽にご相談ください。 

(文責 近藤徹)


2021年04月30日|ニュースのカテゴリー:CHF, cardiac