リウマチ患者様向け

「リウマチを評価する(DASについて)」

国立病院名古屋医療センター 整形外科・リウマチ科 衛藤 義人

レミケードが、そして今度はエンブレルが発売許可され、生物学的製剤(サイトカイン製剤)を選択できる時代がようやく日本にもやってきました。関節リウマチの患者様にとっては待ちに待った出来事だと思います。
これらサイトカイン製剤の特徴は効く人には劇的に利き、緩解(ほとんど治ってみたいな状態)に近くまで改善されることがあります。でも、残念ながらみんながそうなるわけではなくて、患者様によっては、良くならなかったり、場合によっては悪くなったりする患者様さえおられます。薬としては、切れ味の鋭いお薬なので、病状を的確に判断して使用しなければなりません。
従来、薬効評価の手段として、ACR(American College of Rheumatology:米国リウマチ学会)コアセットを用いたACR20、50、70%改善基準が用いられてきましたが、このACR改善基準は基本的に大規模な、臨床研究の評価システムであり、個々の患者さんの疾患活動性を評価することには向かないことがわかってきました。
最近、関節リウマチの病状を判定するのにDASが使われています。DASとはDisease Activity Score(病気活動指数の意味)の略語で、主にヨーロッパで使われている評価法でしたが、最近はアメリカでも日本でも良く使われるようになって来ました。実際に使いやすいDAS28は、図に示された28関節のうち、圧痛(A)と腫れ(B)のある関節数、血沈(C)の1時間値{またはCRP(E)*(mg/dl))、全般的な病状の評価値(D)**から病気の活動性を評価する計算方法です。

http://www.das-score.nl/ から引用 >

計算式は複雑で<< 血沈値を使う場合の計算式 >>
DAS28ESR = 0.555×√(A)+0.284×√(B)+0.7×LN(C)+0.0142×(D) という式なのですが、DAS用計算機を使って、簡単に出すことができます。更にDAS28のメリットとして、評価する関節が医師も患者さまも座ったままでも届く範囲にあり、患者さまは靴を脱がなくても測れるという実際的な簡便さもあります。諸刃の歯のような、サイトカイン製剤の使用では、今後、DAS28 を使っての効果判定がなされていくでしょう。