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患者様へ病気と治療

副甲状腺

診断について

原発性副甲状腺機能亢進症の診断のきっかけは、血液検査で血液中のカルシウム値が高いことで気づかれることが一番多くなっています。
診断の確定には血液中のカルシウム値が高いことに加え、血液中の副甲状腺ホルモン値も高いことが必要です。さらに尿中のカルシウム排泄も多くなっていることを確認します。


次に4つある副甲状腺のどれが腫れているかを、画像診断で調べます。最初は頚部超音波検査が、痛みのまったくない検査で精度も高いので第一選択として行われます。特殊なアイソトープ検査(99mTc-MIBI シンチグラムという検査)も診断精度の高い検査です。その他の検査方法として、頚部・縦隔CT検査、MRI検査などが行われます。

頚部超音波検査

99mTc-MIBI シンチグラムについて、少し解説します。99mTc-MIBI シンチグラムは心臓の核医学検査薬として保険薬として承認され広く使用されています。99mTc-MIBI シンチグラムは副甲状腺シンチグラフィにも有用であることが知られており、海外では実地臨床で広く使用されています。副甲状腺シンチグラフィの効能をもつ放射性医薬品として塩化タリウムが日本では承認されていますが、塩化タリウムによる被曝は99mTc-MIBI シンチグラムの2倍以上であり、画質は99mTc-MIBI シンチグラムよりも劣ります。そのため、原発性副甲状腺機能亢進症の術前局在診断には、99mTc-MIBI シンチグラムが効能外で使用されるケースが非常に増えており、現在の使用件数は塩化タリウムを上回っています。このような状況を受け、2004年に日本内分泌学会、日本内分泌外科学会、日本甲状腺外科学会、日本核医学会、日本医学放射線学会の連名で「副甲状腺機能亢進症における局在診断」の適応追加を求める要望書が厚生労働省へ提出されました。これを受け当局からメーカーへ指導がされ、全国7施設(名古屋大学、東京女子医科大学、帝京大、虎の門病院、日本医科大学、筑波大学、福島県立医科大学)において2007年から2008年にかけて治験が行われました。近い将来に保険承認が得られると考えますが、2009年の時点では、名古屋大学では大学の校費負担で検査を行っております。

99mTc-MIBI シンチグラム (早期相)
99mTc-MIBI シンチグラム (後期相) 副甲状腺(左下)が描出されています。

超音波検査、99mTc-MIBI シンチグラム、CT検査、MRI検査など、いずれの検査方法も100%診断できる方法ではありません。患者さんごとに、どの検査方法が適しているかは異なりますが、超音波検査、99mTc-MIBI シンチグラムのふたつが一番多い組み合わせです。すべての検査を行っても、腫れている副甲状腺を同定できないこともあります。2003年から2008年までに名古屋大学で手術を行った71人の原発性副甲状腺機能亢進症の患者さんのうち、手術前に腫れている副甲状腺を同定できていた患者さんは31人でした。一般的には、手術前に腫れている副甲状腺を同定できることが多いのですが、名古屋大学の患者さんは71人中多発性内分泌腫瘍症の患者さんが15人、再手術の患者さんが6人、縦隔や甲状腺内という異所性の患者さんが5人含まれていたということが、手術前に腫れている副甲状腺を同定しにくかった原因と考えています。