糖鎖とはタンパク質や脂質に結合している構造であり主として細胞表面に存在しています。糖鎖は8種類の単糖類が様々な配列を呈することにより多種多様な役割を担っています。身近なところではABO血液型や腫瘍マーカーの一部は糖鎖構造の変化に着目したものです。 糖鎖の主な働きとしては細胞外のシグナル受容のためのセンサーとしての役割があり、腎障害進展に際しどのような働きをしているか明らかにすることにより、新規の腎障害治療の方策を見つけようと鋭意研究を進めています。現在、リンパ球ホーミング現象に必要なシアリル6-スルホルイス X とよばれる硫酸化糖鎖を合成する酵素であるGlcNAc6STに注目しています。この酵素はサブクラス毎に臓器分布が異なる特徴を有しているため、臓器選択性を高める事により副作用の少ない治療方略の一つとなりうる可能性を秘めていると考え、現在腎障害モデルを作成して実験を進めています。