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ご紹介・専門外来

免疫・膠原病専門外来

免疫・膠原病専門外来について

自己免疫疾患(いわゆる膠原病)の多くは、自身の体内の成分に対してあやまった免疫機構が働き(自己抗体の産生)、様々な臓器に炎症が生じる疾患です。
免疫・膠原病専門外来は、毎週水曜日、9番診察室で開かれており、下記疾患を中心に診療を行っております。自己免疫疾患が疑われる症例やお困りの症例がございましたら、ぜひご紹介・ご相談ください。

全身性ループスエリテマトーデス(SLE)

全身性ループスエリテマトーデス(SLE)は、慢性関節リウマチに続き2番目に頻度の多い疾患で、女性に多く発症します。
SLEの臨床症状は、発熱、皮疹、関節炎、血液異常、肺炎・胸膜炎、中枢神経症状など多彩ですが、腎臓に炎症が生じることも多く、腎炎やネフローゼを発症します(ループス腎炎)。このため、腎臓内科はループス腎炎患者の診療を担当しています。
腎障害はSLE患者さんの予後に重大な影響を及ぼすため、ステロイドのみによる治療では不十分な症例もあります。このような場合、ステロイドによる従来治療にシクロホスファミドやミコフェノール酸モフェチル(MMF)、タクロリムスなどの免疫抑制薬を併用し、SLEの病勢を早期に抑えるとともに、ステロイドの長期服用による副作用を軽減しています。特にMMFによる治療に関しては、保険収載の前から積極的に取り入れており、使用経験も豊富です。
また最近では、欧米でのSLE標準治療薬であるヒドロキシクロロキン併用によりステロイド投与量をさらに軽減する工夫を取り入れたり、難治性SLEに関して血漿交換療法や生物製剤リツキシマブによるBリンパ球除去も速やかに行える体制を整えています。

ANCA関連血管炎

ANCA関連血管炎は、白血球が病原体を殺菌するためにもっているタンパク消化酵素に対して自己抗体(抗ANCA抗体)が産生され、全身の細かな血管に炎症がおこる難治性疾患です。腎臓に炎症がおきると急激に腎機能が低下することが多く、治療が遅れた場合には腎不全に至ります。ANCA関連血管炎に対してはステロイド・免疫抑制薬による治療が有効とされますが、頻回再発例や難治例には上述のリツキシマブによるBリンパ球除去も行ないます。
また、名古屋大学医学部附属病院は、厚生労働省難治性疾患克服研究事業難治性血管炎に関する調査研究班、進行性腎障害に関する調査研究班による「抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎・急速進行性糸球体腎炎の寛解導入治療の現状とその有効性と安全性に関する観察研究(RemIT-JAV-RPGN研究)」の参加施設であり、ANCA関連血管炎の病勢を予測するバイオマーカー研究も行なっています。

全身性強皮症(SSc)

SScは、皮膚や内臓の硬化を特徴とし、主に皮膚科で診療されている慢性疾患ですが、時に重度の高血圧発症とともに急激に腎機能が悪化することがあり、腎組織上では血管内腔が狭くなる特有の変化を示します(腎クリーゼ)。このような場合、腎臓内科では従来の降圧治療や血液浄化療法の他、血漿交換療法や補体系阻害剤(エクリズマブ)投与を用いた新規治療にも積極的に取り組んでいます。

その他の自己免疫疾患

上記の他には、腎臓に炎症が生じることがあるシェーグレン症候群、抗腎糸球体基底膜抗体病、混合性結合織病、IgG4関連疾患など多くの自己免疫疾患の診療を腎臓内科は担当しています。

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