装置装飾への取り組み

患者さんに寄り添う医療を目指して-放射線撮影室・治療室に明るく温かい装飾を-

はじめに

名大病院放射線部では、お子さんをはじめ患者さんの不安を少しでも和らげていただけるように、一部の放射線撮影室・治療室に海や森などをイメージした装飾を施しています。これは、2019年に名大病院 小児チーム(搬送・治療・検査分野)が一丸となり取り組んだクラウドファンディングによって、世間の皆様からの温かいご支援によって実現したことから始まりました。

そして、このような環境づくりは、患者さんとスタッフからの強い後押しもあり、現在も尚、落ち着いた気持ちで検査・治療を受けていただけるような環境構築に多職種連携して取り組んでいます。

大人にも受け入れられるデザインコンセプト

放射線設備は構造基準上、検査室に窓を設けることができず、無機質で閉鎖的な空間の中で検査・治療を行っています。そのため、小さなお子さんは恐怖心や孤立感から泣き出す子も多く、大人の患者さんも緊張感の中で検査を受けています。

このような環境下において、装飾のデザインコンセプトとしてお子さんに親しまれることと同時に、大人の方にも違和感ないクオリティであることを目標に、装飾デザイナーを交え何度も議論を重ねました。

水彩画様のタッチで、検査室全体をやさしい雰囲気に演出

水彩画のようなタッチでグラデーションを施し、安心感にあふれたやさしい雰囲気になっています。

実写を装飾デザインに取り込み、開放的な感覚を生み出す演出

実写を用いたリアルに描出された大空をコンセプトとし、癒し効果が期待できるブルー色を基調とした青空のもと、まるで自然の中にいるような、広々とした開放的な感覚を生み出す環境構築を行っています。

装飾文化を病院全体へ

装飾施工後、いつもは検査室に入るだけで泣いていた子が、泣かずに検査を受けることができたり、大人の患者さんからも緊張が和らいだと、うれしい反響をいただいています。保護者の方からも「検査は嫌なもの。それでもがんばる子どもたちのために、もうこわくないと思える空間を作っていただけたことがうれしかった」とのお言葉をいただいています。

また装飾は、医療スタッフと患者さんや保護者の方との会話のきっかけとなるコミュニケーションツールの一端としての役割も担い、その効果は相乗的に期待を寄せています。
患者さんを応援する検査室は、より優しい医療のシンボルになるものです。こうした装飾の文化が病院全体に浸透し、患者さんに寄り添う環境づくりが更に広がることを願っています。

放射線部装飾チーム

 

装飾の取り組みがメディアで取り上げられました。
・日本経済新聞夕刊ライフサポート面(2020年9月16日付)
・医療情報誌 頼れるドクター名古屋 2020-2021版
・医療情報誌 頼れるドクター名古屋尾張岐阜版(掲載予定)