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社会生命科学予防医学

研究室概要

このユニットは、昭和16年に開設された予防医学講座を引き継ぐ教育研究グループである。  
初代教授は名古屋医科大学時代の細菌学教授、鶴見三三教授であり、それ以後、2代目 岡田博教授(昭和29年着任)、3代目 青木國雄教授(昭和51年着任)、4代目 大野良之教授(平成3年着任)、5代目 浜島信之教授(平成15年着任)、6代目 若井建志教授(平成26年着任)と、予防医学の理念は引き継がれ、グループが発展してきた。  
本グループの研究テーマは時代を反映し、結核の疫学予防にはじまり、2代目岡田教授の頃までは、ジフテリア、百日咳、赤痢、非定型抗酸菌の疫学が中心研究テーマであった。その後、疫学の中心が感染症から慢性疾患に移るとともに、循環器疾患、がん、難病の疫学予防研究が中心となった。  

また、文部省の大規模コーホート研究の開始と継続にも重要な役割を果たしてきた。平成17年から開始された日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)では中央事務局を務めるとともに、静岡地区(聖隷予防検診センター、浜松市)と大幸地区(医学部保健学科・旧大幸医療センター、名古屋市)での調査を担当している。

研究プロジェクト

がん発生要因の検討を中心としたコーホート研究

当教室は1988年に開始したわが国の代表的ながんコーホート研究であるJACC studyの事務局を担当してきた。この多施設共同コーホート研究は多くの成果が集積されており、参加研究グループの協力で現在論文化されてきている。頻度の高いがん(肺がん、胃がん、乳がん、大腸がん、前立腺がんなど)と生活習慣との関連を検証すると共に、参加時の血清を用いてIGF1、IGF2、IGFBP3などの生体指標との関連を検討している。更に、平成17年度から文部科学省の研究費による遺伝子型検討を含めた第2次の多施設共同がん大規模コーホート研究(J-MICC Study)が開始され、研究の中央事務局を担当している(http://www.jmicc.com/)。

遺伝子多型と疾病発生リスクに関する症例対照研究

疾病発生リスクに関与する遺伝子型を探索し、環境要因(生活習慣)との交互作用を症例対照研究の手法を用いて検討する。

  1. 愛知県がんセンターとの共同研究によるがん発生リスク(食道がん、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、悪性リンパ腫)に関連する遺伝子多型(NQO1, IL-1B, MTHFR, ALDH2, CYP17など)と生活習慣の検討。
  2. ピロリ菌血清抗体陽性およびペプシノゲン値から見た胃粘膜萎縮に関連する遺伝子多型(IL-1B, IL-2, IL-4, IL-8, IL-10, TNF-A, TNF-B, NF-KB2, CD14など)と生活習慣の検討。
  3. 喫煙習慣に関与する遺伝子型の探索(DRD2, MAO-A, MAO-B, IL-1Bなど)。
  4. 血清成分濃度に関連する遺伝子多型の検索など。これまでおよそ100の遺伝子多型についてPCRを用いた遺伝子型決定条件を確立した。
禁煙誘導方法の確立に関する研究

喫煙者を禁煙させることは必ずしも容易ではない。無関心期の「禁煙指導」は全くといってよいほど効果がなく、「禁煙支援」は準備期にある人が中心である。「禁煙誘導」は、医療提供者が短時間安価に行いうる方法で、喫煙者を禁煙に誘導するための技術をさす。米国で提唱された5A(Ask, Advice, Assess, Assist, Arrange)、呼気中CO濃度や尿中コチニン濃度検査など曝露量を示す生体指標検査結果の通知、喫煙有害作用感受性に関する遺伝子型の検査結果通知などが考案された。当教室では、5A、呼気CO濃度の測定、遺伝子多型(L-myc, NQO1, GSTM1, GSTT1)の通知を用いて、禁煙誘導方法の効果測定を患者、住民、職員を対象者に対して行っている。

職域における疾病発生関連要因の検討

働き盛りに起きる健康障害は、本人はもちろんのこと、職場、家庭などへさまざまな影響を及ぼす。当教室では、数10年にわたり、ある職域の健康管理に関わってきた。産業医として職場環境の改善に努めるのみならず、高血圧、高脂血症などの循環器系疾患やがんのリスク要因の検討も行っている。最近は、メンタルヘルスの重要性が認識され、精神科医師と協力し、より適切な職場対策を検討している。

特定疾患の疫学研究

日本では現在121疾患(うち45疾患が特定疾患治療研究対象疾患)が難病に指定され、厚生労働省調査研究班がその発生要因や治療法の解明を進めている。当教室は、前々教授青木國雄先生の時代より、難病の発生要因や疫学像を明らかにする課題に取り組んできた。現在は、厚生労働省科学研究費補助金ベーチェット病に関する調査研究班(http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~behcet/)で疫学研究を進めている。

歯科医師を対象とした歯と全身の健康、栄養との関連に関するコーホート研究:LEMONADE Study

近年、歯や口腔の健康が全身の健康にも関連するとの仮説が提唱されている。この仮説を証明するためには、口腔状態が良好な者で、実際に死亡率や、虚血性心疾患、脳血管疾患、がんなどの重大疾病への罹患率が低いか否かを大規模なコーホート研究により検討することが望まれる。しかし地域住民を対象とした場合、大規模研究には、歯科検診や追跡調査に膨大な費用と労力が必要である。そこで本研究では、調査票によってもかなり妥当性のある口腔状態データが得られ、かつ歯科医師会を通じた追跡調査が可能な歯科医師を対象としたコーホート研究を実施している。本研究は都道府県歯科医師会の多大なご協力の下で行っており、口腔保健の重要性に関する情報を、歯科医師自らが発信する貴重な機会ともなるものである。

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※LEMONADE Study (Longitudinal Evaluation of Multi-phasic, Odontological and Nutritional Associations in Dentists Study)

教員

構成員名役職所属
若井 建志 教授 予防医学
田村高志 講師 予防医学
永吉真子 講師 予防医学

研究キーワード

予防医学、疫学、日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)

「SPSSによる医学統計実習」

本実習は、テキストの実習を自分で実施し、指定されたレポート課題を提出することによって単位認定となります。
質問を受け付けるオフィスアワーを設けてありますが、出席は単位の認定要件ではありません。

提出期限:未定(決定次第、掲載します)

詳細はhttps://www.med.nagoya-u.ac.jp/yobo/spss/(SPSS実習用特設サイト)をご覧ください。

SPSS for Windows の利用について

SPSS for Windowsの最新バージョン(SPSS Statistics)は以下の方法で利用可能です。 (一部のMacに対応したVer.あり)

  1. ソフトウェアのダウンロードとインストールは下記のURLから行ってください(学内専用)。
    https://www.med.nagoya-u.ac.jp/intnl-h/inside/spss/
  2. ご自身の研究室でSPSSが使えない方は、予防医学にあるPCで実習可能ですので、事前に若井までご連絡下さい。