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芳川豊史教授 |
皆さん、こんにちは。 2025年9月に入り、私自身、名古屋大学呼吸器外科チームを預からせていただいてから、7年目を迎えることになりました。 毎回書いておりますが、名古屋大学呼吸器外科の使命は、臨床、教育、研究の3本柱です。東海・中部地方の核となる名古屋大学、そして名古屋大学医学部附属病院として、高いレベルで、かつ、バランスよく、この3つの使命を全うできるように、日々励んでおります。 |
また、チームにとって、構成員となる「人」の力は最も重要な因子の一つと考えており、「人」の勧誘と育成を最重要課題としております。今年も4名の入局が決定しており、これで着任後、37名の方が入局されたこととなりました。勧誘にご尽力いただいた関連病院の同門の先生方、大学医局の先生方、また、入局してくださったみなさま、誠にありがとうございました。
それでは、恒例に従い、現況報告をさせていただきます。
名大病院呼吸器外科の全身麻酔手術数は、毎年増加しておりましたが、本年は、過去最高の年間500例の昨年とほぼ同数の手術をこなしております。原発性肺癌の症例数は、3年連続300例を超える見込みです。低侵襲(内視鏡)手術も、全手術の約8割で行っており、なかでもロボット手術(RATS)は、9月末の時点で220例に到達しており、昨年の261例を超える見込みです。
手術においては、まず、低侵襲な内視鏡手術(VATSやRATS)での対応を考えますが、大学でしかできないような進行性の腫瘍性病変に対する拡大手術など、根治性や安全性を第一に、開胸手術でのアプローチも適宜行っております。また、胸壁合併切除、気管・気管支形成、血管形成などの拡大手術においても、同門である心臓外科教室と連携して、積極的に行っております。さらに、耳鼻科、整形外科、腹部外科などの様々な診療科との共同手術も継続して行っております。
また、2023年3月に肺移植実施施設に認定され、8月より患者受け入れを始めた脳死肺移植ですが、8月に1例目を行いました(ホームページのリンク)。その1か月後には、2例目を行いました(写真)。幸いなことに、2例ともに、大きな問題なく順調に経過しており、1例目の方はそろそろ退院の予定です。大学の医局員を中心に、名大病院内の20以上の部署で構成される肺移植チームが一体となったチーム力で、今後も、登録された患者さんに訪れた機会に対し、慎重に対応しつつ最大限に活かしていきたいと思っております。
教育面では、外科医離れが進む流れの中で、大学と関連病院が一体となり、研修医および学生の教育や勧誘を進めております。その一部は、呼外便りとして、教室のホームページで(https://www.med.nagoya-u.ac.jp/kokyuukigeka/)でも公開しております。名古屋大学は、愛知医科大学(呼吸器外科 福井高幸教授)や愛知県がんセンター(呼吸器外科 坂倉範昭部長)などの中核病院をはじめ、東海地区に多くの関連施設を有しており、未だ呼吸器外科医が不足しております。今後も、継続して仲間を増やしていきたいと思っております。
研究面では、科学研究費やAMEDなどの競争的資金に積極的に応募して研究を進めております。現在、数名のスタッフが研究代表者として、科研費(B、C、若手)を獲得し、忙しい日常臨床の合間を縫って研究を行っております。例えば、豊富な臨床データや臨床検体の解析を含めた様々な臨床研究をはじめ、エクソソームなどに着眼した分子生物学的な研究、変形シミュレーションなどの外科手技に関する研究や、気胸に対する新規治療法の開発、腸呼吸など、さまざまな研究を行っております(研究について 2024年6月|研究について|呼吸器外科について|名古屋大学大学院 医学系研究科 呼吸器外科学 (nagoya-u.ac.jp))。
最後になりましたが、これからも、名古屋大学呼吸器外科を中心として、25を超える関連病院の同門一同が力を合わせて、より良い呼吸器外科医療を確立すべく、日々努力していきたいと存じます。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

肺移植後のICUでの呼吸器外科チームの集合写真
(注:他にもたくさんの医局員や他部署の肺移植チームのみなさんにお世話になりました!)
令和7年9月吉日
名古屋大学大学院医学研究科 呼吸器外科 教授・科長
芳川 豊史
▸過去のごあいさつ(令和7年2月)
▸過去のごあいさつ(令和6年9月)
▸過去のごあいさつ(令和6年5月)
▸過去のごあいさつ(令和5年10月)
▸過去のごあいさつ(令和5年5月)
▸過去のごあいさつ(令和4年10月)
▸過去のごあいさつ(令和4年1月)
▸過去のごあいさつ(令和3年8月)
▸過去のごあいさつ(令和3年1月)
▸過去のごあいさつ(令和2年4月)
▸過去のごあいさつ(令和元年9月)
資格
卒業年:1997年 京都大学医学部
略歴
| 1971年 | 華僑3世として、京都に出生(ちん とよふみ、Fengshi CHEN) 京都で育ち、洛星中学・高等学校を卒業後、京都大学に進学 |
|---|---|
| 1997年5月 | 京都大学胸部疾患研究所 外科研修医 |
| 1998年4月 | 高知市立市民病院 呼吸器外科 |
| 2000年10月 | 静岡市立静岡病院 心臓血管外科・呼吸器外科 |
| 2003年4月 | 京都大学医学部附属病院 呼吸器外科 |
| 2004年4月 | 京都大学大学院(医学研究科呼吸器外科専攻)入学 (2006年4月から 学振院 特別研究員DC2) |
| 2007年1月 | 同 中退(2007年5月:京都大学 医学博士 取得) |
| 2007年2月 | 京都大学医学部 臓器機能保存学 助教 |
| 2008年7月 | カナダ国トロント大学 胸部外科 Clinical fellow |
| 2009年7月 | 京都大学医学部附属病院 呼吸器外科 助教 |
| 2014年1月 | 京都大学医学部附属病院 呼吸器外科 講師 |
| 2014年12月 | 日本国籍取得し、「芳川豊史(よしかわ とよふみ)」となる。 |
| 2019年1月 | 京都大学医学部附属病院 呼吸器外科 准教授 |
| 2019年9月 | 名古屋大学医学部附属病院 呼吸器外科 科長/教授 |
現在に至る
専門分野
呼吸器外科全般(肺癌、肺移植、縦隔腫瘍、胸膜中皮腫、肺再生など)の臨床と研究
手術シミュレーション
趣味・特技など
囲碁が好き(アマチュア5段)で、また時間をみつけて再開したいと思ってます