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呼吸器外科について

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肺癌について

はじめに

日本では、年間10万人以上の方が肺癌に新たに罹患しています。
さまざまな癌のうち、死亡数では、男性で1位、女性で2位です(2017年)。

肺癌には、様々な種類(組織型)があり、大きく非小細胞肺癌と小細胞肺癌に分けられます。
非小細胞肺癌には、腺癌や扁平上皮癌、大細胞癌などが含まれます。
過去には、タバコを吸う患者さんに発生する扁平上皮癌が多かったですが、近年では、タバコを吸わない方に発生する腺癌が見つかる頻度が増えています。

診断と治療方針

肺癌が疑われた場合、CTやPET、MRIなどを行い、まず病期(病気の進行度)を診断します。
病期はI期からIV期まであります。

Ⅰ 期 癌が肺の中に留まっており、リンパ節への転移がない場合。
Ⅱ 期 リンパ節への転移はないが、癌が大きい場合。
リンパ節への転移はないが、周囲の臓器へ浸潤している場合。
癌と同じ側の肺門リンパ節に転移している場合。
ⅢA期 癌が周囲の臓器に浸潤している場合。
癌と同じ側の縦隔リンパ節に転移している場合。
ⅢB期・ⅢC期 癌と反対側のリンパ節に転移している場合。
Ⅳ 期 反対側の肺に転移している場合。
骨や肝臓、脳などに転移している場合。
胸水の中に癌細胞を認める場合。

一般的にはI期からIIIA期の非小細胞肺癌とI期の小細胞肺癌が手術の適応となります。
そして、患者さんが手術に耐えられるかどうか、心機能や呼吸機能もあわせて調べます。
手術前に、気管支鏡検査などを行い、病理学的に癌と診断することがありますが、それらを行わずに、診断と治療を兼ねて手術を行うこともあります。

手術

肺は左右に1つずつあり、右は3つの肺葉(上葉・中葉・下葉)、左は2つの肺葉(上葉・下葉)で構成されています。

肺癌に対する標準手術は、「肺葉切除術とリンパ節郭清」です。しかし近年では、様々な縮小手術も行われるようになってきています。もともと肺気腫などがあり、呼吸機能が低下している患者さんに対しては、区域切除術や部分切除術といった肺の切除範囲を縮小した手術を行います。また、ごく早期の肺癌患者さんに対しても、区域切除術などの縮小手術を行うことがあります。

傷口の小さい胸腔鏡下手術やロボット支援下手術も行っています。当科では肺癌手術症例の42%が胸腔鏡下手術やロボット支援下手術でした(2018年)。ロボット手術のページも参考にしてください。

一方で、肺癌は隣接する臓器に浸潤することがあります。当科では、そのような進行例にも積極的に取り組んでいます。肋骨に浸潤する肺癌に対しては、手術前に抗癌剤治療と放射線治療を行い、その後に手術を行っています。この治療は、日本国内の多施設と協力して臨床試験を行い、良好な成績を報告しています。また、大血管に浸潤している場合は心臓外科と、協同で手術を行うこともあります。

当科での一般的な入院スケジュール

手術前日に入院していただきます。医師から手術についての説明があります。

術翌日の昼から食事が開始となります。また、理学療法士・看護師とともにリハビリを開始します。病棟を1周歩くことを目標としています。

術後の経過が良好であれば、術後5日目頃に退院となります。

当科の原発性肺癌手術件数と治療成績

当科の手術件数は下のグラフの通りで、年々増加しています。

2005年〜2016年の間に、当科で手術を受けられた患者さんの術後5年生存率は、以下の通りです。

ⅠA期:88%、ⅠB期:79%、ⅡA期:58%、ⅡB期:60%、ⅢA期:57%