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肺移植について

肺移植とは?

「息がしんどい」ということは、健康な人にはわからない、苦しみです。お薬などの内科的治療を最大限に行っても、病状が進行してしまう場合があり、重症な患者さんの命を救うことができる最後の手段が、肺移植です。

肺移植では、レシピエント(肺移植を受ける方)の傷んだ肺を取り除いて、そこにドナー(肺を提供される方)の新しい肺を移植します。肺移植を受けると、呼吸が楽になり、健康な人と同じような生活を取り戻すことができます。

しかしながら、肺移植には問題点もあります。それは、他人の肺が体の中に入るので、拒絶反応を抑えるために免疫抑制薬を一生飲まなければなりません。

肺移植という医療は、1983年に、カナダのトロント大学のチームによって初めて成功されました。世界では、これまでに6万人以上もの患者さんが肺移植を受けておられ、日本では、1998年に1例目が行われ、これまでに700人以上の患者さんが肺移植を受けておられます(令和元年9月現在)。

肺移植には、生体肺移植と脳死肺移植があり、現在は、両方とも保険適応になっています。生体肺移植は、健康な方がドナーとなり、肺の一部をレシピエントに移植します。脳死肺移植は、脳死になった方がドナーとなり、その肺を移植します。現在、世界的には、生体肺移植が行われているのは、ほぼ日本のみとなっています。

肺移植は、指定を受けた病院(肺移植実施施設、ガイドブック参照)でしか医療を受けることができません。現在のところ、中部地方には、肺移植実施施設はありません。

肺移植が必要な患者さんとは?

内科的治療を行っても病状が進み、余命が限られていると思われる重症な呼吸器疾患の患者さんが肺移植を必要とする患者さんです。適応疾患には、間質性肺炎、肺気腫、肺高血圧症、気管支拡張症、肺リンパ脈筋腫症など、いろいろな病気がありますが、ほとんどの場合、生活を送るのに酸素吸入が必要な状態の方です(ガイドブック参照)。

しかしながら、肺移植手術は大変大きな手術であるため、その手術を乗り切るだけの体力が残っていなくてはなりません。したがって、肺移植の適応には、年齢制限に加え、多くの細かい取り決めがあります(ガイドブック参照)。

どのくらい状態が悪くなった時に肺移植を考えるべきかということについては、それぞれの病気で細かい目安がありますので、専門の医師に問い合わせていただくのがよいです。

当科では、芳川豊史教授が移植認定医であり、前述のトロント大学(年間100例以上の脳死肺移植を行っています)で、外科治療を含めた肺移植の臨床医としてのトレーニングを受けました。さらに、前任地の京都大学医学部附属病院で、10年以上勤務し、海外で約100例、日本では200例以上の肺移植を経験しております。

現在、名古屋大学は肺移植実施施設ではありませんが、中部地区の患者さんが地元でこのような医療を受けられるように可能な限り尽力したいと思っております。相談に来ていただければ、適宜対応させていただきます(現在、木曜日の午前中に、外来を行っております)。

『肺移植のためのガイドブック(PDF)』 ダウンロード