名大病院の活動について

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遺伝子パネル検査に力を入れ、 次につながるがん治療を提案しています。(「名大病院かわらばん」127号)

名大病院はがんゲノム医療中核拠点病院として、2018年4月にゲノム医療センターを開設し、最先端の「がんゲノム医療」を提供してきました。これまでの活動や今後の展望について、センター長の安藤雄一教授と近藤千晶病院助教に伺いました。

可能性が広がるがんゲノム医療

 がんゲノム医療とは、がん細胞の何百もの遺伝子を一度に調べることができる「遺伝子パネル検査」を行い、遺伝子変化に基づいて患者さん一人ひとりに最適な治療薬を提案する医療です。パネル検査は2019年に保険適用されたほか、昨年からは従来の腫瘍検体だけでなく血液でも検査できるようになり、がんゲノム医療の可能性は広がっています。

 ただ、遺伝子パネル検査を受けるにはさまざまな条件があり、保険診療上受けられる人が限定されている場合があるほか、検査を受けても必ずしも治療法が見つかるわけではなく、臨床試験などの治療に到達できる患者さんも限られます。そのため当院では患者さんに丁寧に説明し、必要に応じて遺伝カウンセリングも行って、より良い選択ができるように努めています。

 

遺伝子パネル検査数が年々増加

 開設以来、当センターは20近くのがんゲノム医療連携病院はもちろん、地域の医療機関に対してもがんゲノム医療や遺伝子パネル検査の啓発に注力し、遺伝子パネル検査用の外来を設けて紹介患者さんを受け入れてきました。その結果、現在は連携病院を含めたパネル検査数が約80件/月、当院だけでも約1520件/月と順調に検査数が伸びています。

 パネル検査後は、検査結果に基づいて今後の治療方針を検討するために、連携病院の先生方とともに症例を検討する専門家会議(エキスパートパネル)を週1回開催し、十分な議論の上で患者さんに適した治療法を提案しています。国のガイドラインに沿った最新のエキスパートパネル支援システムの導入後は、厳重なセキュリティのもと患者さんの情報共有、治療法の探索が一層円滑に行えるようになっています。

 

患者さんを新しい治療につなげるために

 治療においては、患者申出療養制度のもと、承認済のがん種とは異なるがん種に対して既存の医薬品を投与する試験(受け皿試験)を行っています。専門家会議で十分に検討した上で治療効果の見込みの高い患者さんに提案し、これまでに20数名の方が参加されています。中には治療薬がなくお困りだった患者さんが、受け皿試験の治療薬により職場や学校に復帰できた例もあります。

 一方、現在はパネル検査を実施しても治療に到達できる患者さんが少ないため、より多くの患者さんが治療を受けられるように、受け皿試験のほか企業治験に参加できる機会を増やすことが必要です。名古屋大学でも企業治験が行えるように体制を整え、治療機会の増加に尽力したいと考えています。

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▲エキスパートパネル会議の様子

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▲がんゲノム医療部門 近藤千晶助教

 

■当院ホームぺージで遺伝子パネル検査の詳細を紹介しています。ぜひご覧ください。

https://www.med.nagoya-u.ac.jp/hospital/guide/outpatient/genomu/

 

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「名大病院かわらばん」127号 PDFファイル・目次

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<目次>

・ 遺伝子パネル検査に力を入れ、次につながるがん治療を提案しています。

・新年のご挨拶

・新任のご挨拶

・教えて!この言葉「尿崩症」

・病院からのお知らせ

・ドナルド・マクドナルド・ハウスなごや ボランティア募集

・かわらばんHPのご案内

「名大病院かわらばん」について     

当院では、病院の活動を広く院内外にお知らせするために『名大病院かわらばん』を発行しており、以下のURLからご覧いただけます。

https://www.med.nagoya-u.ac.jp/hospital/outline/publish/

 ※『名大病院かわらばん』は、当院における積極的な取組事項等を中心に掲載した季刊誌です。

※上記ホームページには、第58号(2006年1月発行)分から掲載しております。