がんは遺伝子の変化によって起こる病気です。がん遺伝子パネル検査では、がん細胞に起きている遺伝子の変化に関して、一度に多数の遺伝子を調べる(解析する)ことで、がんの特徴に基づいた治療法を検討します。
「がん遺伝子パネル検査」を検討する方にご理解いただきたいこと(PDF:1.52MB)
がん遺伝子パネル検査を受けることで、抗がん薬の選択に関連する遺伝子の変化が明らかになり、今後の治療選択に役立つ情報が得られる可能性があります。一方でこの検査を受けても、あなたの治療選択に有用な情報が何も得られない場合や、得られたとしても治療に適した薬剤がない場合もあります。また、解析に用いた検体の品質や量によっては、正確な結果が得られないこともあります。
また遺伝性腫瘍の原因となる遺伝子の異常(生まれつき持っているがんに罹りやすい体質)があることがわかったり、遺伝性腫瘍の可能性が判明する場合があります。
①標準治療がない固形がん患者さん、または局所進行もしくは転移が認められ標準治療が終了となった固形がん患者さん(終了が見込まれる患者さんを含む)
②全身状態及び臓器機能等から、がん遺伝子パネル検査施行後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した患者さん
ご自身が対象となるかどうかについては、現在治療を担当されている主治医とご相談ください。
保険診療の対象となるがん遺伝子パネル検査は下記のとおりです。(2024年4月現在)
検査の種類は検体となる腫瘍組織の状態や、病状、検査の特徴を考慮の上、選択されます。
検査名 | OncoGuideTM NCC オンコパネルシステム |
FoundationOne® CDx がんゲノムプロファイル |
GenMineTOP がんゲノム プロファイリングシステム |
---|---|---|---|
検査実施場所 | 日本 | 米国 | 日本(一部米国) |
検査対象遺伝子数 | 124 | 324 | 737 |
検査対象融合遺伝子数 | 13 | 36 | 455 |
マイクロサテライト不安定性(MSI) | 判定あり | 判定あり | 判定なし |
腫瘍遺伝子変異量(TMB) | 算出あり | 算出あり | 算出あり |
必要な検体 | 腫瘍検体/血液 | 腫瘍検体 | 腫瘍検体/血液 |
結果までの所要期間 | 1.5~2か月 | 1.5~2か月 | 1.5~2か月 |
腫瘍組織を用いた検査では、検査を実施するために各検査の基準を満たした腫瘍組織が必要となります。腫瘍組織量が不足している場合、または検体の品質が基準を満たさないなどの場合はがん遺伝子パネル検査が実施できない、もしくは検査が途中で中止となることがあります。総合的な判断により以下のリキッドバイオプシーを検討することがあります。
血液中にある、がん細胞由来のDNAを調べます。腫瘍組織を用いることができない場合や、腫瘍組織を用いて検査を試みたが結果が得られなかったなどの場合に実施を検討します。
検査名 | FoundationOne® Liquid CDx がんゲノムプロファイル |
Guardant360 CDx |
---|---|---|
検査実施場所 | 米国 | 米国 |
検査対象遺伝子数 | 324 | 74 |
検査対象融合遺伝子数 | 36 | 6 |
マイクロサテライト不安定性(MSI) | 参考情報扱い(承認範囲外) | 判定あり |
腫瘍遺伝子変異量(TMB) | 参考情報扱い(承認範囲外) | 算出なし |
必要な検体 | 血液 | 血液 |
結果までの所要期間 | 1~1.5か月 | 1~1.5か月 |
化学療法が奏功している時期など、採血時期によって本来は存在する遺伝子異常が検出できなかったり(偽陰性)、検査停止となる可能性があり、治療状況や病状を考慮して採血日を検討します。
内訳 | 金額 | 留意点 |
---|---|---|
がん遺伝子パネル検査費用
|
56万円の1~3割が自己負担 |
|
その他 | 諸費用の1~3割 |
|
患者さんからの直接のお申し込みは受け付けておりません。保険診療のがん遺伝子パネル検査を希望される場合には、まずは現在治療を担当されている主治医とご相談ください。
保険診療におけるがん遺伝子パネル検査のご紹介の際には、下記よりお申し込み手順や、ご準備いただく書類・検体等についてご確認ください。
名古屋大学医学部附属病院 地域連携・患者相談センター がん相談員(外来棟1階)
受付日時:月曜~金曜日 午前9時00分~午後3時00分
(土日・祝祭日・年末年始を除く)
TEL:052-744-1976(直通)