令和5年度より名大病院で稼働し始めた「小児循環器センター」がこの春3年目を迎え、新生児の手術を開始することとなりました。少子化が急速に進行する医療環境を踏まえて、小児先天性心疾患の集約化を掲げて立ち上げられた小児循環器センターは、産婦人科・小児外科・麻酔科など多くの専門分野と豊富な人材のリソースに支えられています。この2年間では、学童・幼児の手術に始まり、乳児にまで段階的に手術対象を拡大し、医療環境の整備を進めて参りました。その一つとして、この4月から小児循環器センターの心臓カテーテル検査室が増設され、稼働が始まりました。そして、いよいよ新生児に手術が必要な心臓病に対しての手術が始まります。具体的には、完全大血管転位症・総肺静脈還流異常症・大動脈縮窄症・大動脈離断症・総動脈幹症などの新生児早期に修復する疾患が対象です。手術を担当する心臓外科医は、櫻井一病院教授が中心となります。産まれてから先天性の心臓病を診断されることは、胎児診断が主流となってきた今日珍しくなりましたが、そんな時、迅速に対応可能なシステムです。出動するDrカーの"なないろ"には、新生児科や小児循環器科の医師と共に看護師なども同乗して、不安定な重症新生児搬送に必要な医療機器を搭載しています。
なお、出生前の胎児診断として、胎児心エコーの集約化も産婦人科の先生方と連携して進めております。
今回のこのシステムにより、先天性の心臓病を持って産まれた子ども達を集約化することと、集約化することでより質の高い医療の提供が期待されます。