2017年4月より名古屋大学大学院医学系研究科 神経疾患・腫瘍分子医学研究センター 腫瘍病態統御部門 腫瘍生物学の教授を拝命いたしました。伝統ある本教室でこれまで築き上げてこられた医学研究に、新たな研究を積み上げ発展させていきたいと考えます。
細胞のDNA(ゲノム)上の遺伝子は、状況に応じてそれぞれ“使う/使わない”が決められていく必要があります。私たちの研究の中心テーマであるエピジェネティクスとは、DNA上の遺伝子情報をどのように使うか、その使い方を決める仕組みのことです。その際にDNA上の“使う遺伝子”と“使わない遺伝子”には“目印(マーク)”がつけられます。マークには様々な種類(一般にはメチル化などの化学修飾)があり、総称して “エピゲノム”と呼ばれます。最近ではタンパク質に翻訳されない非翻訳RNAが、エピジェネティクスを調節する分子として注目されています。
エピゲノムの異常は、遺伝子変異や環境因子によって誘発されることが分かりつつあり、がんや代謝疾患、神経疾患などの様々な疾患発症につながります。疾患の多様性を説明するためには、ゲノム情報に加えてエピゲノム情報の解明が重要であることも明らかとなってきました。
近年の分子生物学的解析法は急速に進歩しています。それに伴い、今まで原因が分からず有効な治療法がなかった疾患が治るようになってきました。こうした医学の発展は人の健康につながり、多くの人々の希望でもあると思います。まだ解決されていない医学的課題に対して挑戦し、様々な切り口でアプローチすることにより、疾患発症に関わるメカニズムおよび治療法について研究していきたいと考えます。
ここに、謹んでご挨拶を申し上げますともに、皆様の今後のご指導、ご鞭撻を賜ります様よろしくお願い申し上げます。
2024年 春
近藤 豊
名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科
腫瘍病態学 腫瘍生物学(分子病態)
医系研究棟2号館 5F
近藤 豊
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