診療案内

先端医療

単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術

 胆石症をはじめとする胆嚢良性疾患に対して、患者さんへの侵襲(体の負担)を小さくすることを目的に、腹腔鏡下胆嚢摘出術が本邦で導入されて20年が経過しました。腹腔鏡下胆嚢摘出術は、お腹に3~4ヵ所の穴(1-2cmの創)を開けて行う手術です。この方法は、胆嚢良性疾患に対して多くの施設で施行されている最も標準的な手術方法です。

 これに対し、患者さんへの侵襲をさらに軽減することを目的に、単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術が開発されてきました。単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術は、臍(へそ)に2-2.5cmの1ヵ所の穴を開けて全ての操作を行う手術です(図1)。単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術の長所として、創が1ヵ所のみで臍に隠れてしまうため美容面で非常に優れています。通常の腹腔鏡下胆嚢摘出術と同様に、手術後の回復が早く早期退院および早期社会復帰が可能となります。
図1

 しかしながら、単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術は通常の腹腔鏡下胆嚢摘出術と異なり、手術手技が複雑なため、現時点では限られた施設でのみ施行されています。当教室は単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を積極的に導入している施設です。単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術の対象となる疾患は、通常の腹腔鏡下胆嚢摘出術と同様に胆嚢良性疾患全般となります。しかし、単孔式胆嚢摘出術を施行している多くの施設は、胆嚢炎合併症例を対象疾患から除外しています。当教室は胆嚢炎合併症例に対しても、積極的に単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を導入しています。

 単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術にかぎらず、胆嚢疾患に関して何かお聞きになりたいことがありましたら、当科担当医師に遠慮なくご相談ください。