村松 喬 名誉教授が「瑞宝中綬章」を受章しました
瑞宝章は公務や公共的な業務に長年にわたり従事して功労を積み重ね、成績を挙げた者に授与されます。
村松名誉教授は、細胞の表面に存在して細胞の機能を調節するタンパク質、ことに糖鎖が結合した糖タンパク質について研究しました。まず、糖タンパク質から糖鎖を大きく切り出すエンドグリコシダーゼを発見し、つづいて糖タンパク質結合性の巨大な糖鎖を、ES細胞の原型であるEC細胞に発見しました。
その後、EC細胞を出発点として、より幅広く研究を進め、成長因子あるいはサイトカインに属するミッドカイン、さらに細胞膜糖タンパク質の新ファミリー、ベイシジンファミリーを発見しました。
そして遺伝子ノックアウト法を主な解析手段として、これらのタンパク質の生理的、病理的意義を追求しました。ミッドカインが免疫現象と深く関わり、傷害を受けた組織の生存と修復を助け、がんの進展に寄与することを見出したのは、特に重要な成果です。また、ベイシジンが精子形成、網膜の生存維持に必要なことを明らかにしました。
さらに、糖鎖のN-アセチルグルコサミンに硫酸基を転移する酵素(GlcNAc6ST)を分子的に同定し、その産物が免疫現象、ことにリンパ球ホーミングに関与することも示しました。