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本学医学系研究科 豊國 伸哉 教授が「日本酸化ストレス学会 2020年度 学会賞」を受賞しました。

 本学医学系研究科 豊國伸哉 教授が、日本酸化ストレス学会 学会賞を受賞しました。本学会は本研究科(故)八木国夫名誉教授(生化学)が1977年に設立された過酸化脂質・フリーラジカル学会の流れを汲むものです。豊國教授は、京都大学医学部在学時から現在にいたるまで一貫して、実験病理学の立場から過剰鉄による発がん過程の解明という、酸化ストレス分野における主要な課題の一つに精力的に取組み、世界の酸化ストレス研究の発展に大きく貢献してきました。

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豊國 伸哉 教授

【研究成果・受賞理由】

1)1990年代にホルマリン固定パラフィン包埋病理標本における酸化ストレスの可視化に取組み、8-hydroxy-2'-deoxyguanosineならびに4-hydroxy-2-nonenal修飾タンパク質に対するモノクローナル抗体の開発により、それを初めて可能としました。本法は現在でも頻繁に使用されています。
2)鉄ニトリロ三酢酸による野生型ラット腎発がんにおける標的遺伝子をp16INK4Aがん抑制遺伝子のホモ欠損を初めとして多数報告し、鉄による発がんでヒトがんと同様のゲノム変化を野生型動物にひき起こすことができることを初めて示しました。
3)白石綿(クリソタイル)による発がんが、溶血を介した過剰鉄によることを初めて示しました。
4)現在多用されているナノマテリアルである多層カーボンナノチューブによる中皮腫発がんを解析し、発がん機構はアスベストと極めて類似しているが、カーボンナノチューブの直径が中皮腫発がんリスクとして極めて重要な因子であることを初めて示しました。現在、WHO (IARC) の発がんリスクの根拠文献として使用されています。
5)新たな制御性壊死であるフェロトーシスの概念形成に参加し、発がん過程がフェロトーシス抵抗性の形成プロセスであることを初めて提唱しました。
6)日本酸化ストレス学会、Society for Free Radical Research (SFRR) AsiaならびにSFRR Internationalの理事長を務めました。
7)日本酸化ストレス学会の機関誌J Clin Biochem Nutrの編集長を務める他、多数のフリーラジカル・酸化ストレス関連雑誌の編集に携わっています。

【略歴】

1985年 京都大学医学部医学科卒業
1985年 天理よろづ相談所病院 ジュニア・レジデント
1991年 京都大学医学研究科(病理学)修了・医学博士
1990-1992年 米国 Food and Drug Administration 博士研究員
1992年 京都大学医学部病理学教室 助手
1993年 同上 講師
1998年 京都大学大学院医学研究科・病態生物医学 助教授・准教授
2008-現在 名古屋大学大学院医学系研究科・生体反応病理学 教授

【専門・研究対象】

実験病理学、特に酸化ストレスによる発がん、ナノマテリアルのリスク評価、低温プラズマの生物作用