新任教授のご紹介(神経遺伝情報学  中沢 由華 教授) - ニュース&イベント | 名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科

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新任教授のご紹介(神経遺伝情報学  中沢 由華 教授)

ご挨拶

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この度、202511日付けで、大野欽司前教授(神経遺伝情報学)の後任として、名古屋大学大学院医学系研究科附属神経疾患・腫瘍分子医学研究センターの教授を拝命いたしました中沢由華と申します。ここに謹んでご挨拶申し上げます。

 私は、2002年に長崎大学環境科学部を卒業し、同大学大学院へ進学しました。修士課程では吉川勲教授の指導の下、放射線基礎生物学を学びました。吉川先生は、放射線によって生じる多様なDNA損傷を個体レベルで評価可能なショウジョウバエを開発され、NASAとの共同研究を含む先駆的な放射線生体影響の研究を展開されていました。そのご指導を通じて、DNA損傷やDNA修復機構の研究が生命科学の基盤として極めて重要であることを実感し、自らの研究テーマとして取り組む決意を固めました。

 博士課程では、ヒバクシャ医療の第一人者である山下俊一教授の研究室で、放射線によって生じるDNA損傷の人体影響に関する研究を開始しました。博士号取得後は、長崎大学でJSTのテニュアトラック助教として研究活動を行いました。この間、プリオン研究の第一人者でいらっしゃる片峰茂長崎大学元学長のサポートを受け、DNA修復機構の分子メカニズムの解明や新規DNA修復関連因子の探索に取り組みました。また、DNA修復機構の異常が引き起こす疾患の分子病態についても研究を展開してきました。片峰先生の若手研究者育成への尽力と、長崎大学での自由な研究環境の提供には、今も感謝の念が尽きません。

 その後、名古屋大学に着任し、テニュアトラック制度のもとで再度研究基盤を構築しました。研究者として独り立ちすることを意識し、新たな挑戦を続ける中で、ライフワークであるDNA修復に関する研究を一貫して推進し、無事に再度テニュアを取得しました。現在では、多くの優れた研究者や学生たちと切磋琢磨しながら研究を進めております。

 当研究室では、「DNA修復機構」「DNA損傷の蓄積によって発症する疾患」をキーワードに、「疾患ゲノム解析」や「次世代ゲノム解析技術の基礎利用」を基盤とした新たな研究を積極的に展開していく予定です。これらの研究を通じて、基礎医学研究の成果を蓄積し、臨床応用への橋渡しとなる技術基盤の構築に取り組んでまいります。また、学内外や国内外の研究者との連携を深め、幅広い研究交流にも積極的に取り組む所存です。

 我々、基礎医学研究者の使命は、生命科学の根源的な問いに挑み、疾病の理解と治療法の開発を通じて社会に貢献すること、そしてこれを担う次世代の研究者を育成することだと考えております。当研究室では、特に研究者を目指す若手医師を歓迎し、自由で活発な議論と協働を通じて、一人ひとりの潜在能力を最大限に引き出す研究環境を提供したいと考えております。意欲を持った若手医師や研究者とともに、新しい発見を追求していけることを心から楽しみにしています。今後、医学系研究科の教員として、教育・研究・医療に貢献することで、少しでも多くの方々に恩返しができるよう尽力していく所存です。

 着任にあたり、これまでお世話になった多くの方々に深く感謝申し上げます。そして、新たな地で、学生や共同研究者の皆様とともに研究を進めることを楽しみにしています。今後とも、どうぞご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

略歴

20023         長崎大学 環境科学部 卒業

20043         長崎大学大学院 環境科学研究科 修士課程 修了

20083         長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 博士課程 修了

20084         長崎大学 医歯薬学総合研究科附属原爆後障害医療研究施設 COE研究員

20121         長崎大学 医歯薬学総合研究科附属原爆後障害医療研究施設 JSTテニュアトラック助教

20171         長崎大学 原爆後障害医療研究所 助教

20183         名古屋大学 環境医学研究所 テニュアトラック助教

20215         名古屋大学 環境医学研究所 講師

20251         名古屋大学大学院 医学系研究科附属神経疾患・腫瘍分子医学研究センター 教授