新任教授のご紹介(機能組織学  桐生 寿美子 教授) - ニュース&イベント | 名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科

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新任教授のご紹介(機能組織学  桐生 寿美子 教授)

ご挨拶

写真_桐生.jpgこのたび2024111日付けで、木山博資先生の後任として名古屋大学大学院医学系研究科機能組織学教授を拝命いたしました桐生寿美子と申します。ここに謹んでご挨拶を申し上げます。

私は大阪大学人間科学部を卒業後、医学系研究科修士課程に進学し第二解剖学教室(遠山正彌先生)で神経再生についての研究を開始しました。大学院では、木山博資先生のご指導のもと神経損傷後の脳内で神経再生関連遺伝子を探索しそれらの機能解析に取り組みました。その後木山先生の異動に伴い、旭川医科大学、大阪市立大学、名古屋大学とラボごと引っ越しをしながら各大学で研究・教育に従事してまいりました。大阪市立大学時代には2年ほど米国クリーブランドクリニック(Dr. Trapp研究室)に留学し脱髄疾患研究に携わる機会を得ました。この経験から、疾患や損傷によるダメージにうまく対応できるかどうかが神経保護・修復と神経変性・脱落の運命の分かれ目であり、このためダメージ応答メカニズムを明らかにすることが疾患の病態解明に向け有効なアプローチになるのではないかと考えるようになりました。帰国後2011年に名古屋大学に移動し、マウス脳内でダメージを受けた神経細胞特異的に遺伝子発現スイッチをON/OFFできる独自の系を立ち上げました。それまで埋もれていた神経細胞のダメージ応答の分子メカニズムを個体レベルで浮き彫りにすることが次第にできるようになってきました。

神経細胞は外傷、疾患、老化、ストレスなどの様々なダメージに対して脆弱です。当教室では、引き続き神経細胞のダメージ応答に焦点を当て神経保護・修復の基本原理を理解し、ダメージ応答という切り口から疾患発症以前の未病の解明に挑み社会医療に貢献したいと考えています。また、神経は脳だけではなく多様な臓器に豊富に分布することに注目し、臓器の損傷や疾患に対して恒常性維持や修復を促す神経依存性のダメージ応答メカニズム解明に向けた研究も展開していきたいと考えています。学内の基礎・臨床教室との連携、国内外の研究者との共同研究を積極的に進め、大学院生や若手研究者とともに新たな研究領域を開拓していくことを楽しみしております。

学部学生の教育におきましては、当教室は組織学の講義・実習を担当しております。顕微鏡で形態を観察する面白さから次なる学びへ、さらには研究へと興味を繋げてもらいたいと考えております。解剖学教室としては篤志献体団体である不老会に対して今後も誠意ある対応を心がけ、学生にもその意義や大切さをしっかりと伝える所存です。


皆様には今後とも一層のご指導・ご鞭撻をいただきますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

略歴

1992年3月          大阪大学 人間科学部卒業

1994年3月          大阪大学 大学院医学研究科 修士課程修了

1998年3月          大阪大学 大学院医学研究科 博士課程修了

1998年4月          日本学術振興会特別研究員(PD)

1998年10月        旭川医科大学 解剖学第一講座 助手

2001年4月          大阪市立大学大学院医学系研究科 機能細胞形態学講座 助手

2004年10月        大阪市立大学大学院医学系研究科 機能細胞形態学講座 講師

2007年3          米国クリーブランドクリニック 博士研究員

2008年7月          大阪市立大学大学院医学系研究科 機能細胞形態学講座 准教授

2011年8月          名古屋大学 大学院医学系研究科 機能組織学講座 准教授

2024年11月        名古屋大学 大学院医学系研究科 機能組織学講座 教授