新任教授のご紹介(形成外科学 橋川 和信 教授)
ご挨拶
この度2024年10月1日付で、亀井讓前教授の後任として名古屋大学大学院医学系研究科 運動・形態外科学講座 形成外科学分野の教授を拝命いたしました橋川和信と申します。ここに謹んでご挨拶申し上げます。
私は1997年に神戸大学を卒業し、同年に神戸大学形成外科に入局いたしました。田原真也先生が初代教授として教室を開設された年にあたりますので、一期生ということになります。当時は関連施設が一つもなく、神戸大学医学部附属病院で初期研修を終えました。その後、2000年から2003年にかけて東京大学形成外科に国内留学し、世界で初めてマイクロサージャリーによる遊離皮弁移植を成功させた波利井清紀教授のもとで研鑽を積みました。再建外科・マイクロサージャリーに加えて顔面神経麻痺、頭蓋顎顔面外科の診療について大いに学ぶ機会をいただいたこと、基礎研究の基本手技を身につけられたことは、その後の私のキャリアに大きな影響を及ぼしました。
2003年に神戸大学に戻るとすぐに、神戸大学大学院に入学しました。当時の神戸大学大学院は高度臨床専門教育プログラムというものに力を入れていましたので、まず遊離皮弁を用いた新しい再建外科術式の開発に取り組みました。その他に、神経科学や再生医学、組織培養・移植学、生化学の研究の立ち上げにも参画いたしました。3年で大学院を修了して博士号を取得することができたのは、指導者であった田原教授のみならず、他分野の先生方も手厚くご教授くださったおかげだと思います。
大学院卒業後からはずっと神戸大学で勤務し、2021年に本学の形成外科学准教授として着任いたしました。長く大学で勤務させてもらえたおかげで、幅広く活動できたと思っています。基礎研究では、興味の赴くままに、再建外科学、神経科学、マイクロサージャリー学、バイオマテリアル、組織培養・移植学、再生医学、分子生物学などの領域で競争的資金を得て研究を行ってきました。最近では、皮膚における光受容タンパク質の機能解析、生体吸収性金属を用いたバイオマテリアルの開発、単一細胞手術が可能なロボットの開発などに注力しています。臨床では、頭頸部・顎顔面の形成・再建・美容外科および血管・神経・リンパ管のマイクロサージャリーを専門領域として、数多くの手術を担当させてもらいました。臨床研究では、下顎骨切除術後の欠損分類法の開発、微小血管吻合後血栓形成の危険因子解析などの多施設共同研究を代表者として実施しました。これらの活動はすべて、多くの先生方によるご支援とご協力のもとで行ってきたものであり、ここにあらためて感謝申し上げます。
形成外科学は、体表の変形や組織欠損の修復を対象とする外科系学問分野です。名古屋大学形成外科は、マイクロサージャリーを用いた再建手術では国内でトップクラスの症例数を誇り、再生医学などで独自の研究も数多く行ってきました。先天異常から外傷、腫瘍治療後の組織欠損など、全身に及ぶ多岐にわたる疾患を扱いますので、他の分野や診療科と連携する機会が数多くあります。研究面、臨床面のいずれにおいても恵まれた環境で活動できる利点を活かし、国際的に通用する研究者、医師を一人でも多く育てていきたいと考えています。今後とも皆様にはご指導とご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
略歴
1997年 神戸大学医学部 卒業
1997年 神戸大学医学部附属病院形成外科
2000年 東京大学医学部附属病院形成外科
2001年 武蔵野赤十字病院形成外科
2006年 神戸大学大学院医学系研究科 修了
2007年 神戸大学医学部附属病院形成外科 助教
2012年 神戸大学医学部附属病院形成外科 准教授
2021年 名古屋大学大学院医学系研究科形成外科学 准教授
2024年10月 名古屋大学大学院医学系研究科形成外科学 教授