新任教授のご紹介(システム生物学 本田 直樹 教授)
ご挨拶
この度、名古屋大学医学系研究科システム生物学分野の教授を拝命致しました本田直樹と申します。
データ駆動型の生命科学を専門としております。複雑な生命現象を理解するために、定量データと数理モデルを統合し、その裏にある法則やメカニズムを解き明かすことを目指して研究してまいりました。特に、統計や機械学習といった現代のデータサイエンスの手法を駆使し、大規模なデータから新たな知見を引き出すことに重点を置いております。
近年の計測技術、たとえば生体イメージングや次世代シーケンサなどの革新により、生体内の分子活性、神経活動、遺伝子発現など、かつては計測が困難であった多くの生物学的情報が、高精度かつハイスループットで取得できるようになりました。この膨大なデータが、現代の医学および生命科学において重要な資源となり、私たちはそれをどのように解釈し、活用するかが大きな課題となっています。
このような背景のもと、人工知能(AI)や機械学習技術を活用したデータ解析が広く行われるようになり、生命現象の予測や病態の判別の精度向上に大きく貢献しています。我々の研究室では、これまでの予測や判別の枠を超え、データ駆動的に数理モデルを構築し、生命現象の背後にあるロジックに迫る新たなアプローチを展開していきます。これにより、生命の本質的な理解を深め、将来的には新たな治療法や診断法の開発にも寄与できると考えております。
名古屋大学という伝統ある研究環境で、優秀な学生や研究者の皆様と共に、データ駆動型のシステム生物学の研究・教育拠点を創出し、生命医科学分野
の発展に貢献できることを非常に楽しみにしております。
どうぞ今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
略歴
2002年3月: 同志社大学 工学部 物質化学工学科 卒業
2008年3月: 奈良先端科学技術大学院 情報科学研究科 博士後期課程修了 博士(理学)
2008年4月: 九州大学 理学研究院 数理生物学研究室 学術振興会特別研究員PD
2009年2月: 京都大学 情報学研究科 論理生命学分野 特定研究員
2012年4月: 京都大学 情報学研究科 論理生命学分野 特任助教
2013年5月: 京都大学 医学研究科 生命動態システム科学推進拠点 特定准教授
2017年4月: 京都大学 生命科学研究科 理論生物学分野 特定准教授
2018年4月: 京都大学 生命科学研究科 理論生物学分野 准教授
2020年2月: 自然科学研究機構 生命創成探究センター 理論生物学研究部門 客員准教授(兼任)
2021年4月:
- 広島大学 統合生命科学研究科/理学部数学科 データ駆動生物学研究室 教授
- 自然科学研究機構 生命創成探究センター 理論生物学研究部門 客員教授(兼任)
- 京都大学 生命科学研究科 理論生物学分野 特命教授(兼任)
2024年10月:
- 名古屋大学 医学系研究科 教授
- 広島大学 統合生命科学研究科 特任教授(クロスアポイント)