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新任教授のご紹介(神経情報薬理学  深田 正紀 教授)

ご挨拶

深田正紀_写真.jpg このたび、2023(令和5)年41日付けで、貝淵弘三前教授の後任として、名古屋大学大学院医学系研究科附属神経疾患・腫瘍分子医学研究センター 神経情報薬理学講座の教授を拝命いたしました深田正紀と申します。ここに謹んでご挨拶申し上げます。

 私は1994(平成6)年に神戸大学医学部を卒業し、小児科学(中村肇教授)の研修を経た後、大学時代の恩師である貝淵弘三先生(現藤田医科大学 精神・神経病態解明センター長)の下で基礎研究を行いたいと考え、大学院に進学いたしました。大学院では、貝淵先生と黒田真也先生(現東京大学 教授)にご指導いただき、「低分子量Gタンパク質Cdc42Rac1の細胞内情報伝達機構」に関する研究に取り組みました。学位取得後、貝淵先生が名古屋大学大学院医学系研究科に異動することになり、私も博士研究員および助手として3年間、名古屋大学で研究・教育活動に従事させていただきました。

 2003年からは米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校のBredt研究室へ留学し、「神経シナプス」に関する研究へと研究分野を展開いたしました。具体的には、脳内の速い興奮性シナプス伝達の大部分を担う「AMPA型グルタミン酸受容体の動態制御機構の解明」に取り組みました。私は特定のタンパク質がシナプス膜に濃縮する機構に着目し、パルミチン酸(飽和脂肪酸の一種)をタンパク質に付加する新規の酵素ファミリーを同定いたしました。その後、プロテオミクス手法(パルミトーム研究)の普及もあり、タンパク質のパルミトイル化脂質修飾に関する研究は癌やウイルス分野にも広がり、国内外の多くの研究者と共同研究を行って参りました。

 2005年に長寿医療センターで研究室を主宰する機会を得て、シナプス研究をさらに進め、2007年からは生理学研究所に教授職を得てからは、シナプス伝達の生理に加えシナプス病態に関する研究を行って参りました。2013年には、小型化抗体プローブを用いて、いち早くシナプスの超解像イメージングに取り組み、シナプス内部にナノドメインが存在することを先駆的に見出しました。さらに、新たに見出したてんかんに関わるリガンド-受容体、LGI1-ADAM22に着目して、てんかんや自己免疫性辺縁系脳炎等の脳病態機構の解明に取り組んでいます。

 当研究室では、これからもシナプス生物学(Synapse biology)に関する研究をさらに発展させ、最終的には「脳がどのように機能し、疾患においてその機能がどのように破綻するのか」について明確な解答を導き出したいと考えております。この過程において、学部生、大学院生、留学生らと生命科学研究の素晴らしさを共有し、国際社会に真に貢献する情報(教科書に残るようなclassic paper)を発信できる研究環境を培っていきたいと考えています。また、学内の基礎・臨床講座と連携して共同研究を推進すると共に、国内外の研究者と活発な共同研究を展開し新たな研究分野を開拓したいと考えています。さらに、大学院教育においては、分野を越えて基礎と臨床の両方を理解できる研究者および臨床医の育成に貢献したいと思っております。皆様には、何卒、ご指導、ご鞭撻を賜りたくお願い申し上げます。

略歴

1994年3         神戸大学医学部医学科卒業

1994年5         神戸大学医学部小児科学 研修医

2000年3         広島大学大学院医学系研究科修了 博士(医学)取得

2000年4         名古屋大学大学院医学系研究科 日本学術振興会特別研究員(PD)

2001年4         名古屋大学大学院医学系研究科 細胞情報薬理学講座 助手

2003年4         米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校

                            日本学術振興会海外特別研究員

2005年3         国立長寿医療センター研究所 遺伝子蛋白質解析室 省令室長

2005年10       科学技術振興機構 さきがけ研究者(兼任)

2007年6         自然科学研究機構 生理学研究所 生体膜研究部門 教授

2023年4         名古屋大学大学院医学系研究科 神経情報薬理学講座 教授