新任教授のご紹介(精神医学 池田 匡志 教授) - ニュース&イベント | 名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科

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新任教授のご紹介(精神医学 池田 匡志 教授)

ご挨拶

池田先生写真.jpg202321日より名古屋大学大学院医学系研究科精神医学の教授を拝命いたしました池田匡志(いけだまさし)と申します。

私は1999年に名古屋大学医学部を卒業し、トヨタ記念病院で臨床研修医として研修修了後、名古屋大学医学部精神科に入局、翌年大学院に入学しました。主に精神疾患のゲノム研究を国内留学先であった藤田保健衛生大学(現 藤田医科大学)で行いながら、臨床でも研鑽を積んでまいりました。そして、2008年からは、英国のCardiff大学に留学し、代表的精神疾患である統合失調症のゲノム研究で有名なMichael O'Donovan教授の指導を受ける機会を頂きました。O'Donovan教授は現役の精神科医でもあり、ゲノム研究を単なる基礎的知見に終わらせるのではなく、臨床にいかに応用するかについて、常に考えている先生でした。その姿勢に強い感銘を受け、自分自身も実践しようと心に誓うことができたことは大変貴重な時間でした。そして、帰国後は、再び藤田医科大学に勤務し、その誓いを達成するべく、主任教授の岩田仲生先生とともに研究・臨床を行ってきました。

 現代はストレスの時代であり、多くの方が精神疾患に苦しんでいらっしゃいます。しかし、その発症メカニズムは未だ不明のままであり、たまたま効果があると発見された薬物の発展型を用いながら薬物療法を行っているのが現状です。精神疾患のメカニズム解明のためには、様々な方法論がありますが、闇雲に「分子」だけを決め打ちして研究してもうまく行かないことが過去の知見からも分かっています。その「分子」の絞り込みに対するヒントを提供しうるゲノム研究は、必ず推進していかなければならない基盤データであり、私自身、今後も研究を邁進していく所存です。さらには、ゲノム研究のデータを集学的に、かつ臨床的な視点から検討し、診断や、薬の効きやすさ、副作用の出やすさなど、実際の患者さんに役立つような研究にも展開し、世界へ発信してきたいと思います。

また、リスクとなりうる「分子」、あるいはその集合である「パスウェイ」を同定しても、なぜ病気にかかりやすくなるのかを深堀りしなければ新たな診断分類や薬物の発見には至りません。名古屋大学には多くのクリエイティブかつ先進的な技術を確立された神経科学者が大勢いらっしゃいますので、発展的な協力体制を築くことが可能な素晴らしい環境です。そうした円環の中に私も参画し、精神疾患の一端を解明することに寄与できれば幸いです。

 他方、実際の患者さんに対しては、少しでも楽になっていただけるように丁寧な診療を行いたいと思っております。最新の科学的根拠、さらには患者さんに寄り添う真摯な態度を持って、診察にあたっていく所存です。このことは、私自身はもちろんですが、医局員も同様の目標・目的を共有しながら臨床が行えるように切磋琢磨していきたいと思います。また、精神疾患はすべての疾患に合併する疾患でありますので、多くの診療科の先生と協調しながら患者さんのQOL向上を図っていく決意です。

 まだまだ若輩であり、ご迷惑をおかけすることが多いと存じますが、少しでも皆様の期待に答えられるように努力していきますので、ご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

略歴 

19994月〜20013月 トヨタ記念病院 研修医

20014月〜20023月 名古屋大学附属病院精神科 専修医

20024月〜20059月 名古屋大学大学院 医学系研究科

20025月〜20062月 藤田保健衛生大学医学部 研究生・研究員

20063月〜200611月 医療法人共和会 共和病院 精神科医師

200612月〜20083月 藤田保健衛生大学医学部精神神経科学 助手・助教・講師

20084月〜20107月 Sponsored visiting researcher, Cardiff University School of Medicine

20108月〜20163月 藤田保健衛生大学医学部精神神経科学 講師

20164月〜20213月 藤田保健衛生大学(藤田医科大学)医学部精神神経科学 准教授

20214月〜20231月 藤田医科大学医学部精神神経科学 教授

20232月〜               名古屋大学大学院医学系研究科精神医学 教授