新任教授のご紹介(泌尿器科学 赤松 秀輔 教授)
ご挨拶
令和5年2月1日付で病態外科学講座泌尿器科学の教授を拝命した赤松秀輔と申します。この場をお借りしてご挨拶申し上げます。
私は平成13年に京都大学医学部を卒業し、泌尿器科に入局しました。元々、学生時代から海外臨床留学に憧れており、泌尿器科専門医資格を取得後に米国の泌尿器科レジデンシーに応募しましたが、米国では泌尿器科は大変人気で競争率も高い科であり残念ながら夢は叶いませんでした。しかし私は臨床留学を諦めきれず基礎研究をしていわゆる「箔」を付けて再度臨床留学に挑戦しようと決意し大学院に進学しました。大学院は東京大学医科学研究所の中村祐輔教授が当時センター長であった理化学研究所ゲノム医科学研究センターに派遣され、前立腺癌のゲノムワイド関連解析(GWAS)を行いました。大変厳しい指導のもと苦しい思いもしましたが成果を残すことができ、その後はカナダのバンクーバーに基礎研究2年、さらにクリニカルフェロー1年という形で念願の臨床留学も果たすことができました。臨床留学では海外での手術、外来を経験するだけでなく、トップクラスのアカデミックセンターでどのように基礎研究、トランスレーショナル研究および臨床研究が行われているかを間近で体感することができ、また自分が将来的に目指すacademic surgeonの姿も描くことができました。
帰国後は京都大学で泌尿器がんの臨床および研究を専門として活動してまいりました。特に前立腺癌ではちょうどがんゲノム医療が臨床実装される時期と重なり、がんゲノムやリキドバイオプシー、プレシジョン医療に関する研究を中心に行い、成果を臨床に還元してまいりました。また、手術においてはロボット手術などの最先端手術だけではなく、一般病院ではなかなか手を出せない、他科との高度な連携が必要な高難度手術も多く経験し、最後の砦としての大学病院の役割も実感してまいりました。
今後は自身の経験を生かし、名古屋大学泌尿器科を臨床、研究の両面でさらに発展させていく所存です。臨床、研究、教育は大学病院における3本柱ですが、私はこのうち教育が最も裾野が広く、充実した教室運営の鍵となると考えています。臨床も研究もできる「真の泌尿器科プロフェッショナル」の育成を掲げて若手に魅力ある教室運営を目指していきたいと思います。また、多様性の重視、医師働き方改革、ハラスメントに対する厳しい目など、社会が求めるものも変わってきておりますが、そのような新しい要求に対しても柔軟に対応していく所存です。
新天地で多くの新しい方々と出会い、ご一緒に仕事をできますこと、大変楽しみにしております。名古屋大学医学部のために少しでもお力になれることを心から願っておりますので若輩者ではありますが今後、ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
略歴
1995年3月 東京学芸大学附属高校卒業
2001年3月 京都大学医学部卒業
2009年4月 京都大学大学院医学研究科博士課程入学
2009年5月 理化学研究所ゲノム医科学研究センター研究生
2012年7月 バンクーバー前立腺センター ポストドクトラルフェロー
2014年7月 ブリティッシュコロンビア大学泌尿器科 クリニカルフェロー(ウロオンコロジー)
2015年7月 京都大学大学院医学研究科泌尿器科 助教
2016年7月 理化学研究所統合生命医科学研究センター客員研究員(併任)
2019年12月 京都大学大学院医学研究科泌尿器科 講師
2022年1月 同 准教授