新任教授のご紹介(地域在宅医療学・老年科学 梅垣 宏行 教授) - ニュース&イベント | 名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科

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新任教授のご紹介(地域在宅医療学・老年科学 梅垣 宏行 教授)

ご挨拶

202311日より名古屋大学大学院医学系研究科地域在宅医療学・老年科学の教授を拝命いたしました梅垣宏行(うめがきひろゆき)と申します。梅垣先生写真.jpg

私は、平成2年度に名古屋大学医学部を卒業し、三重県の市立四日市病院にて3年間研修をさせていただきました。その後、名古屋大学の第3内科を経て老年内科の大学院に入学しました。大学院の在学中に米国国立衛生研究所のGerontology Research Centerに留学の機会をいただき、Ronald Ingram博士のもとで研究の指導を受けました。生物は必ず老いるわけですが、Ingram labで老化というものについて深く考える大変良い時間を過ごすことができました。帰国後は、名古屋大学に戻り、井口昭久教授と葛谷雅文教授のご指導のもと老年医学の診療・研究の研鑽を積んでまいりました。

現代医学では、大規模なRandomized control studyの結果がエビデンスとして最重要視されます。臓器横断的かつ包括的に高齢者を診療するためには、様々なエビデンスについての幅広い「知識」が必要です。しかし、我々が日頃診療しているのは、より高齢で、身体機能・認知機能・臓器機能が低下し、多病を併存してもったフレイルな方々です。こうした背景の方々は、大規模なRandomized control studyからは、多くの場合除外されており、そうした研究から得られたエビデンスについては、我々の診療の現場でそのまま適応してよいかどうか多面的な検討を求められます。エビデンスを単に知るのみでなく、エビデンスの成り立ちや目的とともに、その限界までを理解した深い「知識」をもったうえで、それをどのように診療に生かしいくのかを常に「考える」ことが求められます。さらに、多病が併存し、多くの問題も持たれた方の包括的な診療にあたっては、その方の生き方を考慮し、治療に優先順位をつけることを求められることも珍しくなく、やはり「考える」力が求められます。また、高齢者の治療や介護を行う上では、エビデンスとは異なる経験に基づいた様々な「知恵」が求められることも多いと思います。我々の教室では、「知識」と「知恵」と「考える力」を持った老年内科医を多く育てていきたいと考えています。

老年医学にはまだまだ解決しなければならない問題が山積しています。医療面のみならず多領域の力を結集して、問題解決のために研究成果をあげていくことが求められている分野であると考えております。世界に先駆けて高齢化が進んでいる日本の老年医学教室として、この分野の進歩のために、研究成果を世界に発信していきたいと思います。

皆さまのご期待にそえるよう、医局員とともに努力をしていきたいと思います。どうぞよろしくご指導・ご鞭撻をいただきますようにお願い申し上げます。

略歴

1990年3月    名古屋大学医学部卒業

1990年5月    市立四日市病院

1993年4月    名古屋大学医学部大学院

1995年3月    米国国立衛生研究所、老化研究所

1998年3          名古屋大学医学部大学院卒業、医学博士取得

2002年5月       名古屋大学老年科助手

2007年4月          名古屋大学老年内科助教

2012年10月    名古屋大学老年内科講師

2017年1月     名古屋大学老年内科准教授

2023年1月      名古屋大学老年内科教授