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新任教授のご紹介(腫瘍病理学 榎本 篤 教授)

ご挨拶

enomoto_200805.jpg 令和2年8月1日付で、髙橋雅英先生の後任として腫瘍病理学教授を拝命いたしました。就任させて頂くにあたり、一言ご挨拶をさせていただきたいと存じます。

 私が紆余曲折を経ながらも現在、研究の道におりますのは、名古屋大学学生時代に当時の生体防御研究部門の吉開泰信先生・西村仁志先生の厳しいご指導のもと、苦しみながらも論文を発表させていただいたことがきっかけになっております。その後、大垣市民病院研修医を経て、腎臓内科学(予防医療部 丹羽利充先生・下方薫先生)、腎臓生理学(杏林大学 遠藤仁先生)、がんのシグナル伝達、神経発生、血管新生、がん・線維化疾患の間質の生物学(以上、髙橋雅英先生)と様々な分野で多くの先生方にご指導を受けて参りました。博士研究員の期間が終わろうとする頃、髙橋先生に病理医としての道を示していただき、以来、病理診断学の研鑽も積んで参りました。実に多くの病理医の先生方、特に大垣市民病院病理診断科の岩田洋介先生には診断病理学および組織形態学について徹底的にご指導をいただきました。また研究に関しましては、学内の多くの基礎研究者や臨床医の先生方あるいは友人・先輩・後輩から、生化学、分子生物学、発生学、臨床医学の基本を教えていただく機会に恵まれました。改めてここにお礼を申し上げる次第です。

 現在、私が注力している研究テーマのひとつは、がんおよび線維化疾患の間質の生物学(stromal biology)です。上皮細胞等の実質細胞に比べて、線維芽細胞やその近縁の間質細胞等の本態や多様性の意義の理解は遅れています。常にヒトの疾患を形態学の立場から見る病理学者ならではの視点を軸に研究をすすめたいと考えております。研究はうまくいくことが少なく、私の能力不足ゆえ、きれいなパスをつないで美しいシュートを決めることも難しく、従いまして体ごとゴールに転がり込むような泥臭い研究を展開できればと考えております。今後も是非、多くの分野の研究者の方と共同研究等をさせていただき、結果について愉しく論ずる機会をいただければと願っております。

 私ども病理学教室に与えられました重要な使命は、学部生および病理専門医資格の取得を目指す大学院生の方々に病理学、病理解剖および病理診断の真髄を指導することです。幸い、名古屋大学および関連病院においては、これまで中村栄男先生、髙橋雅英先生、豊國伸哉先生(生体反応病理学)および関連病院の先生方が築き上げてこられた病理学の教育体制が確立されており、その継続・拡充が必須と考えております。近年発展が著しい人工知能や分子病理診断技術を専門にする人材の育成も重要と考えています。

 皆さまには、今後とも一層のご指導・ご鞭撻をいただきますよう謹んでお願い申し上げます。

略歴

平成10年 名古屋大学医学部 卒業
平成10年 大垣市民病院 研修医
平成12年 名古屋大学大学院医学系研究科博士課程 健康社会医学専攻(予防医療学)
平成12年 杏林大学大学院医学研究科 特別研究生
平成15年 日本学術振興会 特別研究員(名古屋大学大学院医学系研究科病理病態学講座腫瘍病理学)
平成18年 名古屋大学高等研究院 特任講師(テニュアトラック制度・科学技術振興調整費・若手研究者の自立的研究環境整備促進事業)
平成23年 名古屋大学大学院医学系研究科 腫瘍病理学 准教授
令和  2年 名古屋大学大学院医学系研究科 腫瘍病理学 教授