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病態内科学消化器内科

研究室概要

当科は消化器のすべての疾患の診療を日本のトップレベルの知識と技術で行っています。医局員を上部、下部、肝臓、胆膵の4グループに分け、臨床では上部、下部、胆膵グループは、主に新しい内視鏡診断・治療技術の導入と開発、肝臓グループではウイルス肝炎、肝硬変、肝癌の新規治療に取り組んでおります。また、研究では、各グループ毎の研究に加えて、栄養あるいは腸内細菌の研究に関しては、小腸や大腸のみでなく膵臓、肝臓を含めた多臓器から取り組んでいます。このように当科では今までの伝統をさらに発展させた臨床・研究、あるいは新しく立ち上げた臨床・研究に若い医師が積極的に取り組んでいます。更にグローバル化の一つとして2012年よりメコン5か国(ベトナム)、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマー)での内視鏡技術向上のために、内視鏡トレーニングセンターなどを設立し国家プロジェクトとして貢献しておりますし、外国との共同研究も積極的に行っております。

研究プロジェクト

①上部消化管グループ

1)GISTの病態解明を目指した分子生物学的研究
消化管間葉系腫瘍(GIST)の遺伝子解析について既知の遺伝子のみならず網羅的遺伝子解析を行い、臨床的な悪性度や予後などに影響する分子マーカーの同定を目指した研究を行っています。

2)超高周波超音波細径プローブを用いた上部消化管腫瘍の深達度診断
新規開発中の超高周波超音波細径プローブ(以下、超高周波プローブ)を用いた研究を行っている。超音波は周波数が高いほど画像分解能が向上するため、従来の超音波プローブ(5-20MHzが一般的に使用されている)と比べて、消化管表層に限局する早期消化管癌(胃癌、食道癌、大腸癌など)の深達度診断がより容易かつ正確になることが期待できます。本研究では、上部消化管腫瘍の内視鏡切除もしくは外科的切除検体に対して超高周波プローブで描出を行い、得られた画像と病理学的所見を対比することで、超高周波プローブによる深達度診断能及び臨床応用の可能性について検討を行っています。

3)上部消化管疾患と腸内細菌叢の相関
上部消化管疾患と腸内細菌叢の相関について解析しています。特に、H.pylori除菌治療における腸内細菌叢の変化について研究しています。

4)消化管における全焦点内視鏡画像生成・解析の有用性に関する研究
内視鏡検査における焦点深度の浅さ,観察範囲の狭さに起因する診断能の低下を克服するべく,観察対象のすべてに焦点が合った全焦点画像の生成を可能にする技術の開発を医工連携の一環として目指し、臨床診療における全焦点内視鏡画像の有用性を示すことを目標に研究をしています。

5)消化管粘膜下腫瘍に対する直視型超音波内視鏡を用いた粘膜切開下生検の有用性に関する検討
上部消化管粘膜下腫瘍に対する直視型超音波内視鏡を用いた粘膜切開下生検の有用性を検討しています。

6)消化管疾患に対するCADの研究および開発
消化管疾患の医用画像に対して、コンピュータによる病変の自動検出、自動診断の研究および開発を行っています。

②下部消化管グループ

1)粘膜生検材料を用いた消化管生物学的マーカーの探索的研究
様々な消化器疾患で消化管におけるNiemann-Pick C1-Like 1などの消化管生物学的マーカーの頻度・分布を調べることで、消化器疾患の特徴を明らかにする研究を行っています。 

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2)術後再建腸管に対してのダブルバルーン内視鏡を用いた逆行性胆膵管造影検査における二酸化炭素送気の有用性についての前向き探索的研究
術後再建腸管での逆行性胆膵管造影検査において、二酸化炭素送気の有用性を明らかにする研究を行っています。

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3)潰瘍性大腸炎における大腸腫瘍の臨床像と内視鏡所見の解析
潰瘍性大腸炎の患者においては一般大腸腫瘍による大腸癌と炎症性の大腸癌の発生を認めます。両者は治療方針が異なるため正確な鑑別が重要となります。当院で腫瘍性病変に対して治療を行ったUC患者の臨床像、内視鏡所見の解析を行い、一般大腸腫瘍と炎症性腫瘍の鑑別となる特徴について研究を行っています。

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4)ダブルバルーン小腸内視鏡検査におけるデクスメデトミジンの有用性の検討
ダブルバルーン小腸内視鏡検査は口径の大きなオーバーチューブを使用して内視鏡を深部に挿入する検査法で、患者さんにとって負担がかかる検査です。そのため検査時に鎮静が必要ですが、この研究でデクスメデトミジンを用いた新たな鎮静法の有用性を検討しています。

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5) 原因不明消化管出血におけるダブルバルーン内視鏡の必要性予測スコアに関する前向き観察研究
原因不明消化管出血患者におけるダブルバルーン内視鏡の必要性を予測するスコアを臨床情報とカプセル内視鏡所見を基に作成し、その有用性を前向きに調査しています。 

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6)大腸内視鏡の挿入性に関する研究
大腸腫瘍の精査・治療に、内視鏡検査は必須です。内視鏡技術が発達した現在も検査が困難な場合もあり、その因子について研究しています。

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7)クローン病における小腸内視鏡所見と便中マーカー値の変動に関する探索的研究
クローン病における内視鏡所見と便中カルプロテクチン値の変動について、その有用性を検討しています。

8) 間質形成に関与する蛋白質の癌間質マーカーとしての臨床応用に関する観察研究
血清中ないし腫瘍における間質形成に関する蛋白質の検討を行っています。

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9)大腸ポリープにおける従来法と Cold polypectomy の有用性に関する探索的並行群間ランダム化比較試験
Cold polypectomyは、熱凝固を用いる従来法に比べ、処置時間が短く、遅発性出血や腸管穿孔などの合併症が少ないとの報告がありますが、本邦ではまだ普及していません。本研究は、熱凝固を用いないcold polypectomyの安全性・有用性を、従来法と比較検討する前向きランダム化比較試験です。

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Cold polypectomyの手技
A. 腺腫が疑われる10mm未満の小さな大腸ポリープ
B. 熱凝固を用いないCold snare polypectomyによるポリープ切除
C 処置直後の出血はすぐに止まることが多く、止血処置を要しない.

③胆膵グループ

1)超音波を用いた新しい胆道・膵臓疾患の診断法の開発
腹部超音波検査・超音波内視鏡検査(EUS)に超音波造影剤(当院IRBの承認すみ)やエラストグラフィー(strain法、shear wave法)、空間位置情報を加味したGPS機能、CT-fusion機能、3D超音波などの新しいモダリティーを積極的に導入し、最新の診断をおこなっています。また内視鏡下や超音波内視鏡下穿刺生検(EUS-FNA)下に得られた胆道・膵臓疾患の検体(組織や膵液など)を用いて分子生物学的な診断や治療に有用な結果を目指した研究をしています。

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2)手術不能局所進行膵癌に対する免疫細胞局注療法の研究
予後の悪い手術不能膵癌に対する新たな治療法として免疫療法に着目し、樹状細胞の局注による局所進行膵癌の治療の臨床研究をしています。

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3)手術不能局所進行膵癌に対するHSV-1自然変異株HF10を用いた腫瘍内投与の研究
予後の悪い手術不能膵癌に対する新たな治療法としてHSV-1自然変異株であるHF10に着目し、局注による局所進行膵癌の治療の臨床研究をしています。

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4)十二指腸乳頭部腫瘍の内視鏡的診断と治療
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)や、管腔内超音波検査(IDUS)などを用いて十二指腸乳頭部腫瘍の進展範囲を詳細に診断し、より侵襲が少なく、偶発症の少ない内視鏡的乳頭切除術を施行しています。

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5)胆道疾患の経十二指腸乳頭的診断と治療
管腔内超音波検査(IDUS)、経乳頭的胆管生検などを積極的に施行し、より侵襲が少なく確実な診断を目指して研究しています。また、総胆管結石や閉塞性黄疸に対し、適切な切石法やドレナージ法を選択することにより低侵襲で確実な治療を施行しています。

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6)膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)はじめとした膵嚢胞性疾患の診断法の開発、自然史解明への研究
造影超音波内視鏡や内視鏡的胆管膵管造影(ERCP)をはじめとした各種画像診断技術を駆使し、既存の診断法よりも侵襲が少なく確実な膵嚢胞の診断治療、開発を行っています。また膵嚢胞性疾患の経過観察を長期間行うことにより、膵嚢胞性疾患の自然史解明に向けた多施設共同研究を行っています。

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7)自己免疫性膵炎の診断・治療・自然史に関する研究
名古屋大学及び関連施設で診断された自己免疫性膵炎(AIP)の超音波内視鏡下穿刺生検(EUS-FNA)検体を詳細に解析し、AIP診断に対する、低侵襲かつ安全な組織学的診断法であるEUS-FNAの有用性を研究しています。

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Histopathology of lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis.
A, H&E staining of tissue obtained by EUS-guided FNA biopsy .
B, The findings demonstrate replacement of the acinar structure by lymphoplasmacytic infiltration and fibrosis .
C, Abundant immunoglobulin G4–positive cells are found in the high-power field .

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EUS-FNA biopsy for AIP

8)膵線維化の鋭敏な検出法の開発
厚生労働省難治性膵疾患に対する調査対策研究班の助成をうけて、不可逆的かつ進行性である慢性膵炎の早期診断を目的に、膵線維化の鋭敏な検出法の開発を行っています。超音波内視鏡検査に加え、超音波やMRIを用いた組織弾性画像法、新規膵機能検査や血液マーカーなどの有用性を研究しています。

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Strain elastography 
(Endoscopic Ultrasound)
Shear wave elastography
(Transabdominal Ultrasound)

9)栄養の消化吸収を担う、膵・小腸臓器相関、腸内細菌叢と病態の解明

改良型小腸内視鏡試作機を使用することで、低侵襲な近位小腸までの内視鏡観察が可能となりました。膵疾患例を中心に小腸絨毛形態および機能の評価を行い、消化吸収の主座となる膵と小腸の臓器相関について研究しています。また次世代シーケンサーを用いて、糞便などから得られた腸内細菌叢を解析し、種々の疾患・病態との相関を研究しています。

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10)切除不能進行膵癌の二次治療例に対するS-1通常投与法とS-1隔日投与法の無作為化
第Ⅱ相  試験(SCOTCH trial)
切除不能進行膵癌の二次治療例に対して、S-1通常投与法を対照にS-1隔日投与法の有効性および安全性を検討する、多施設共同でのrandomized control trialを現在進行中です。共同研究は関連施設20施設で行っています。

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11)試作型細径高周波超音波プローブの有用性に関する研究
胆膵疾患診断のため当教室では20MHz程度の超音波プローブにて管腔内超音波検査(IDUS)を行っておりますが、更なる周波数でより詳細な診断を行うことができないか、手術検体を用いて研究を行っています。

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12)体外式腹部超音波エラストグラフィーによる食道胃接合部機能の評価
超音波診断技術の一つである硬度評価を行うことを可能とするエラストグラフィーを用いて、食道胃接合部の経時的な硬度変化を測定する事による機能評価の有用性を研究しています。

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④肝臓グループ

1) ウイルス性肝炎における病態の解明
i) C型肝炎ウイルス(HCV) 現在当院を中心として、インターフェロン(IFN)ベース治療、および新たなフリーDirect Acting Antiviral(DAA)併用治療に関しての多施設共同研究を施行、治療効果、安全性、治療効果に関与する因子の探索的検討を施行しています。特に我々は現在までにIFNベース治療とIL28B宿主遺伝子多型、HCV core領域、NS5A領域と病態、および治療効果について明らかにしてきました。現在IFNフリー治療においてもこれらの検討、およびウイルス消失による免疫反応の動態解析も行っています。
ii) B型肝炎ウイルス(HBV) HCVと比較して複雑な生活環を持つHBVにおいてはC型肝炎と比較して根治療法の開発が困難とされています。我々は現在、臨床的寛解状態と考えられるHBs抗原消失とHBV core領域との関係、また現在標準治療として使用されている核酸アナログ製剤で血中HBV-DNA陰性化を得られている症例において、血清マーカー(HBs抗原、HBコア関連抗原)の値と病態との関係、また発癌に関与する因子の検討などを行っています。

2) 肝癌の新たな治療法についての解析
肝癌患者に対する治療として、ラジオ波焼灼療法(RFA)の新たなデバイスにおける有効性、安全性の検討、経カテーテル的肝動脈化学塞栓術(TACE)の治療標準化に向けての前向き検討、また、進行肝細胞癌における分子標的薬(Sorafenib)について多施設共同研究として、その有効性、安全性の検討、ならびに治療効果に関与する因子の探索的検討を行っています。

3)急性肝不全動物モデルにおける炎症と再生の相関
肝不全に対して直接肝再生を促す確立された方法がない現状で、我々はそれを解決する方策の有力な候補の一つとして、口腔外科との共同研究で歯髄由来の幹細胞培養上清を用い、それを急性肝不全モデル動物に投与することで効果を示すことを明らかにしてきました。現在その培養上清中に強い効果を示す因子を同定し、その抗炎症作用、肝再生促進作用について検討し、肝再生には強力な抗炎症との相関が不可欠であることを見出すべく検討を進めています。

教員

構成員名役職所属
後藤 秀実 教授 消化器内科
廣岡 芳樹 准教授 光学診療部(胆膵)
石上 雅敏 講師 消化器内科(肝臓)
渡辺 修 病院講師 消化器内科(下部消化管)
林 和彦 病院講師 消化器内科(肝臓)
川嶋 啓揮 講師 消化器内科(胆膵)
宮原 良二 講師 消化器内科(上部消化管)
本多 隆 助教 消化器内科(肝臓)
中村 正直 助教 消化器内科(下部消化管)
葛谷 貞二 助教 消化器内科(肝臓)
大野 栄三郎 助教 消化器内科(胆膵)
舩坂 好平 助教 消化器内科(上部消化管)
古川 和宏 病院助教 光学診療部(上部消化管)
石津 洋二 病院助教 消化器内科(肝臓)
石川 卓哉 病院助教 消化器内科(胆膵)
山村 健史 病院助教 光学診療部(下部消化管)
松下 正伸 病院助教 消化器内科(下部消化管)