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実験動物科学(協力)実験動物部門

研究室概要

哺乳動物における種を越えた遺伝子の共通性の観点から、マウス(図1)はヒトの生命機能全般を解明するうえで優れたモデル動物である。多くの疾患は単一の遺伝子でなく複数の遺伝子によって起こるため、ヒトでその原因遺伝子を突き止めその機能を詳細に解析するには困難が伴うが、実験動物では遺伝育種学的手法によりさまざまな遺伝子の組み合わせを作出し、複雑な疾患の原因究明に迫ることが可能である。我々は、マウスの最新ゲノム情報とマウスでしかできない体系的な遺伝的解析法を駆使して、複雑なヒトの疾患および高次生命現象の解明に寄与することを目指している。具体的には糖脂質代謝異常や寄生虫症の病態モデルの開発・育成とそれらの原因遺伝子の同定を、"Forward Genetics(順行性遺伝学)"の手法やゲノム編集技術を用いて解析している

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図1 様々な毛色を示すマウス系統

研究プロジェクト

1.マウスの体系的遺伝解析系の基盤整備と、その多因子形質の遺伝解析への応用

マウスSM/J系統とA/J系統を起源として我々が独自に樹立したリコンビナント近交系(RI系統群)、コンソミック系統群、コンジェニック系統群などの体系的遺伝解析系(図2)とエキソーム解析に基づくゲノム変異情報を利用して、糖脂質代謝異常や腫瘍感受性などの多因子形質の遺伝解析を行っている。これまでに上記の体系的遺伝解析系を用いた連鎖解析により、糖・脂質代謝異常をはじめとする各種疾患の感受性遺伝子の存在領域を複数特定し、更に、それら原因遺伝子の単離・同定を目指した解析を行っている(図3)。

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図2体系的遺伝解析系の染色体構成の模式図

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図3 体系的遺伝解析系を用いた疾患感受性遺伝子解析戦略

2. マウス・ラットを用いた寄生虫感染に対する宿主抵抗性機構の解析

マラリアは今もなお全世界で多数の感染者・死亡者を出ており猛威を振るい続けている寄生虫症である。以前よりマラリア原虫感染時の宿主病態には宿主の遺伝的要因が強く関与していることが知られている。我々はこの宿主の遺伝的要因を解明し、それをヒントとした新たな治療法の開発を行うために、マウスの順行性遺伝学の手法を用いてマラリア原虫感染時の宿主の感染応答に重要な役割を持つ新規遺伝子を単離・同定しその機能解析を行う事を目的とした解析を行っている(図4)。 また、ラットやマウスを用いて、腸管内寄生条虫と宿主の相互作用の解析も行っている(図5)。

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図4 マウス赤血球中のネズミマラリア原虫

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図5ラット小腸から摘出した縮小条虫(約65cm)

3. ゲノム編集技術を用いた疾患モデルマウスの作出

近年開発されたゲノム編集技術の進歩は凄まじく、特にCRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子改変マウスの作製は、ES細胞の相同組換え技術に基づく従来の遺伝子組換えマウスの作製を完全に上書きする程の勢いがある。我々がCRISPR/Cas9システムによる遺伝子欠失あるいは変異導入技術(図6)を取り入れて、上記1.や2.の解析で見出した疾患感受性遺伝子の同定や、新たな疾患モデルマウスの作出を行うと同時に、学内の研究者からの変異マウスの作製支援も行っている。

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図6 CRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子改変マウスの作製

教員

構成員名役職所属
大野 民生 准教授 実験動物科学/実験動物部門
宮坂 勇輝 助教 実験動物科学/実験動物部門

研究実績

  • 2016年
    1. Yashima A, Mizuno M, Yuzawa Y, Shimada K, Suzuki N, Tawada H, Sato W, Tsuboi N, Maruyama S, Ito Y, Matsuo S, Ohno T: Mesangial proliferative glomerulonephritis in murinemalaria parasite, Plasmodium chabaudi AS, infected NC mice. Clin Exp Nephrol, in press.
    2. Miyasaka Y, Shitara H, Suzuki S, Yoshimoto S, Seki Y, Ohshiba Y, Okumura K, Taya C, Tokano H, Kitamura K, Takada T, Hibino H, Shiroishi T, Kominami R, Yonekawa H, Kikkawa Y. Heterozygous mutation of Ush1g/Sans in mice causes early-onset progressive hearing loss, which is recovered by reconstituting the strain-specific mutation in Cdh23. Hum Mol Genet, 2016; 25: 2045-2059.
    3. Suzuki M, Kobayashi M, Ohno T, Kanamori S, Tateishi S, Murai A, Horio F. Genetic dissection of the fatty Liver QTL Fl1sa by using congenic mice and identification of candidate genes in the liver and epididymal fat. BMC Genet, 2016; 17:145.
    4. Kobayashi M, Suzuki M, Ohno T, Tsuzuki K, Taguchi C, Tateishi S, Kawada T, Kim YI, Murai A, Horio F. Detection of differentially expressed candidate genes for a fatty liver QTL on mouse chromosome 12. BMC Genet, 2016; 17: 73.
  • 2014年
    1. Kobayashi M, Ohno T, Ihara K, Murai A, Kumazawa M, Hoshino H, Iwanaga K, Iwai H, Hamana Y, Ito M, Ohno K, Horio F. Searching for genomic region of high-fat diet-induced type 2 diabetes in mouse chromosome 2 by analysis of congenic strains. PLoS One, 2014; 9: e96271.
  • 2013年
    1. Ohno T, Okamoto M, Hara T,Hashimoto N, Imaizumi K, Matsushima M, Nishimura M, Shimokata K, Hasegawa Y, Kawabe T. Detection of loci for allergic asthma using SMXA recombinant inbred strains of mice. Immunogenetics, 2013; 65:17-24.
  • 2012年
    1. Ohno T, Hata K, Baba T, Io F, Kobayashi M, Horio F, Nishimura M. Establishment of consomic strains derived from A/J and SM/J mice for genetic analysis of complex traits. Mamm Genome, 2012; 23: 764-769.

研究キーワード

マウス、体系的遺伝解析系、疾患感受性遺伝子、順行性遺伝学、ゲノム編集、CRISPR/Cas9システム、寄生虫症、マラリア、糖脂質代謝異常症

大学院生募集

大学院修士課程・博士課程の学生を募集しております。大所帯のラボではありませんので、個人の自由度や裁量が大きいところが当研究室の特徴です。大きなラボの補欠より小さなラボのエースとして活躍したい方に向いています。自然科学系(医・歯・農・獣医・理・工など)の大学・大学院修士課程を卒業したあるいは卒業見込みの方で、上記分野に興味がある方は、大野宛に遠慮なくお問い合わせください。

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