学友会

Back
Top > 学友会 > 学友会時報 > 時報部長挨拶

時報部長挨拶

MK_151208.jpg

このたび、平成30年4月から学友会時報部長を拝命いたしました、平成7年卒業の勝野雅央(かつのまさひさ)と申します。この場をお借りして学友会の皆様に謹んでご挨拶申し上げます。

 時報部では毎月「名大醫學部學友時報」の編集を行なっております。この時報は明治33年から続いている情報誌であり、名古屋大学医学部・大学院医学系研究科と学友会の皆様を繋ぐ重要な架け橋となっております。このような活動が継続できますのも、ひとえに学友会の皆様のご支援の賜物と、あらためて感謝申し上げます。

 医学や医療を取り巻く環境は年々変化を続けています。医療現場では高齢化と並行して認知症やがんなどの患者数が増加している一方、医師の都市部への集中などの要因により多くの地域で医師不足が深刻な問題となっています。このことは患者・家族の診療はもとより、医療機関やそれらを抱える自治体の運営にも大きな影響を及ぼしていると思います。これに対し、大学入試における地域枠の導入や専門医制度の改変など、制度面での対応策が講じられていますが、短期間で容易に解消できる問題ではなく、いろいろなレベルでの議論や改革が今後も必要と思われます。また、労働人口が減少傾向にある中で、脳卒中や認知症など介護を必要とする方が増加し医療経済的にもひずみが生じていることは論を俟ちませんが、後述する医療技術の進歩がそれに輪をかけている状況であり、世界に誇る日本の保険診療制度をどのように次世代に繋げていくかにも、注目が集まっています。

 医学教育においても、改革の波が押し寄せています。とくに重要視されているのは国際化と研究指向ですが、前者は米国の医師免許取得条件の変更などの影響で、我が国の卒前教育カリキュラムにおいて座学を減らし実習を増やすなどの対応が必要となっています。医学に関する情報量が膨大になり、一方でそれを検索する情報技術が進歩した現在、単に知識を詰め込むだけの教育では医師や医学研究者を育成することになりません。情報リテラシーを備えた上で、自分で考え行動できる医学・医療の開拓者を輩出することが教育機関に強く求められています。そうした中で、名古屋大学は、医学部教育の早い段階から医学研究に興味を持ち、国際的視野と高いモチベーションで医学研究に取り組む人材の育成に力を入れています。卒前海外派遣や大学院のジョイントディグリープログラムなど、学生が海外で研鑽できる環境が整備されつつあり、今後さらに活動を展開していく予定です。

 医学研究においても、最近の進歩には目を見張るものがあります。高血圧や糖尿病など生活習慣病に対する治療薬の開発がある程度落ち着いた現在、これまで治療法のなかった「アンメットメディカルニーズ」と呼ばれる希少難病が創薬の標的となってきています。先天性代謝疾患や神経筋疾患など、これまで教科書に治療法が載っていなかった多くの疾患に対し、治療薬が見出され臨床において使用できるようになってきました。また、免疫学の進歩と技術革新により、モノクローナル抗体を始めとする生物製剤が種々の自己免疫疾患や悪性腫瘍などに使用できるようになり、予後を大きく変えつつあります。がんを始めとする様々な疾患に対して、ゲノム情報など個々の患者の病態に合わせた「プレシジョンメディシン」も実用化されてきています。ロボットの医療現場への導入も進んでおり、今後は人工知能の医療への導入も進んでくると思われます。その反面、創薬開発コストの回収とさらなるイノベーションのため、新薬の医療費が高騰しているのも事実であり、医療経済への影響は必至と考えられ、今後将来を見据えたアクションプランが必要と考えられています。

 このように、医療や医学を取り巻く環境は大きく変化してきていますが、個々の医師や研究者がこれらの情報をリアルタイムで共有することは容易ではなく、とくに立場の違う人の意見に耳を傾ける機会は極めて限られているのではないかと思います。「名大醫學部學友時報」は名古屋大学における教育、研究など様々な活動を学友会の皆様にお知らせするだけでなく、学友会の皆様からのご意見や近況報告を通じて、医学・医療の現状や変化を双方向で情報共有できる、大変貴重なプラットフォームになっています。また、幅広い分野でご活躍させている皆様をご紹介することで、名古屋大学がもつ多様性と開拓者精神を、学生も含めた皆さんに広く呈示できるのではないかと思っております。こうした記事が皆様を勇気づけ、医療や医学の現場を盛り上げるとともに、学友会の誇りを高めることを切に祈っております。

 今後も時報部の活動が皆様のお役に立てるよう、学生共々精進していく所存です。学友会の皆様におかれましては、引き続きご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。