概 要About Us

Back
Top > 概要 > 学部長・研究科長からのメッセージ

学部長・研究科長からのメッセージ

ご挨拶

DSC_2025-03-11-104901_adjust.jpg 名古屋大学医学部・大学院医学系研究科は1871(明治4)年に設立された名古屋藩の仮病院・仮医学校をルーツとし、150年を超える歴史を有します。この伝統を礎として、医学と医療の進歩と充実を実現すべく、研究・教育に取り組んでまいりました。

 研究においては、希少疾患をはじめとする難治性疾患の病態研究と治療法開発、基礎・臨床を跨いだシームレスなトランスレーショナルリサーチ、イメージングなど革新的解析手法の開発、オミックスなどのデータサイエンスなど、幅広い分野で世界をリードする成果を挙げてきました。その背景には、長い歴史の中で蓄積されたデータやノウハウ、新規分野を開拓する斬新でフレキシブルな発想、総合大学の強みを生かした融合研究、国内外のアカデミアや企業との連携などがあります。とくにデータサイエンスの分野では鶴舞・大幸の両キャンパスの連携が成果を挙げています。また学内では、創薬科学研究科や環境医学研究所と共同研究や大学院生指導を通じた交流と共創を進めるとともに、東海国立大学機構の研究拠点であるOne Medicine創薬シーズ開発・育成研究教育拠点 (COMIT)、糖鎖生命コア研究拠点 (iGCORE)、健康医療ライフデザイン統合研究教育拠点 (C-REX)、量子フロンティア産業創出拠点、低温プラズマ総合科学研究拠点に参画し、部局を超えた連携を実現してきました。メディカルイノベーション推進室をハブとした産学連携の推進や、データサインエンスを活用したヘルスケア領域への展開にも注力しています。

 学部・大学院を通じた医学教育は、知的好奇心を持って科学的視点を身に着け、広い視野で新しい医学・医療を切り開く人材育成に取り組んできました。名古屋大学の自由闊達な学風の中、医学部では基礎医学セミナーや基礎研究・臨床実習のための海外留学を通じ、学生の自主性を重んじた教育が実践されてきました。医学部の卒業生の多くは関連病院で充実した臨床の研鑽を積むとともに、学部で培ったアカデミックな視点で医療を洞察する眼を養います。大学院においては各分野の最先端研究に従事するだけでなく、情報学や臨床研究のリテラシーや、国際性、多様性を身に着けることにも重点が置かれています。とくにJoint Degree Program (JDP)による留学・国際共同研究支援や、卓越大学院プログラム (情報・生命医科学コンボリューション on グローカルアライアンス卓越大学院) などによる医学・情報学の分野横断的融合教育などが、特色のある教育プログラムとして提供されています。2024年に鶴舞で開業したSTATION Aiとの連携によるアントレプレナーシップ教育にも力を入れています。こうした教育が、地域から海外まで幅広い領域で活躍する医師やグローバルな舞台で活躍する研究者の育成、さらには行政や企業で活躍する人材や起業家の輩出に貢献していくと信じています。

 我が国全体の医学や医療に目を向けると、解決すべき課題は決して少なくありません。以前から基礎・臨床の両面において研究力の低下が指摘されており、少子高齢化による疾患構造の変化と認知症やフレイルをはじめとする加齢性疾患の増加、医療の高度化と働き方改革に伴う臨床研究者の研究時間短縮なども課題となっています。これらの困難を克服し高いレベルの医学・医療を展開するためには、一点突破を目指す探求心、幅広い連携を通じた学際性、そして社会とのつながりの中で生まれる柔軟性が重要ではないかと思います。

名古屋大学医学部・大学院医学系研究科は、これからも学生や職員にやりがいと向上心を持って学び、働くことができる環境を提供していきます。そして、伝統に支えられた研究基盤と人材ネットワークを生かし、関連病院や自治体との共創や地域・国際・産学官連携によるライフイノベーションクラスターの形成を通じて新しい医療・ヘルスケアの実現を先導する人材を育み、これまで以上に社会に貢献してまいります。関係の皆様におかれましては、変わらぬご支援、ご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2025年4月
医学系研究科長・医学部長 勝野 雅央

プロフィール

かつの まさひさ
勝野 雅央 / KATSUNO, Masahisa

大学院医学系研究科 教授

専門分野
  1. 神経内科学
  2. 臨床研究教育学