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- 名大病院・血管外科、胸腹部大動脈瘤、傍腎動脈腹部大動脈瘤に対する「4分枝付きステントグラフト(TAMBE)」の保険診療を開始~ 2025年12月2日に第1例目の手術を実施し、成功 ~
名古屋大学医学部附属病院 血管外科は、胸腹部および傍腎動脈大動脈用4分枝付きステントグラフト(以下、TAMBE)が2025年12月1日より保険適用となったことを受け、同日より臨床での提供を開始いたしました。また、本保険適用下の第1例目となる手術を12月2日(火)に実施し、合併症なく無事に終了したことをご報告いたします。

■ 背景と意義
胸腹部大動脈瘤や傍腎動脈腹部大動脈瘤といった複雑な大動脈病変の治療は、従来、開胸・開腹を伴う人工血管置換術が主流でした。しかし、この手術は身体への負担(侵襲)が極めて大きく、ご高齢の患者さんや重篤な併存疾患を持つ患者さんにとっては、手術そのものが困難なケースが少なくありませんでした。今回導入した「TAMBE」は、こうした課題を解決するために開発された最新のデバイスです。
■ 新規治療「TAMBE」の特徴
1.低侵襲な血管内治療:脚の付け根などの小さな傷からカテーテルを用いて治療を行うため、開胸・開腹手術に比べて出血量や術後の痛みが少なく、早期の社会復帰が期待されます 。
2.4本の枝(分枝)を持つ特殊構造:内臓へ血液を送る重要な動脈(腹腔動脈、上腸間膜動脈、左右の腎動脈)を確保するための「4つの枝」があらかじめ備わっています。これにより、複雑な解剖学的条件を持つ患者さんに対しても、血流を維持しながら動脈瘤を治療することが可能となりました。
3.保険適用による負担軽減:2025年12月1日の保険収載により、より多くの患者さんに標準的な治療として提供できる環境が整いました 。
■ 今後の展望と体制
当院血管外科では、本治療の実施にあたり、専門医を含む多職種による厳重な安全管理体制を構築しています 。患者さんおよびご家族に対して十分な説明を行い、同意をいただいた上で、個々の病状に合わせた最適な治療方針を決定してまいります。
今回の第1例目の成功を皮切りに、これまで侵襲度の高さから治療を諦めざるを得なかった患者さんへも、安全かつ有効な治療の選択肢を提供し、地域医療への貢献に努めてまいります 。