パーキンソン病総合医療センター開設のお知らせ
名古屋大学医学部附属病院(病院長:丸山彰一)は、パーキンソン病の専門医療体制をさらに充実させるため、当院難治性疾患診療部の下に、2025年10月1日に「パーキンソン病総合医療センター」(センター長:脳神経内科 教授・医学系研究科長 勝野雅央)を開設いたします。
開設の意義
パーキンソン病は運動機能障害、認知機能低下、精神症状、自律神経症状を呈する進行性神経変性疾患です。当センターでは、これらの多様な神経症状に対し、多職種連携による包括的な専門医療を提供いたします。

センターの特徴
専門診療体制:パーキンソン病に精通した脳神経内科、脳神経外科、精神科などの専門医が、患者さんの病状に応じた最適な診療を提供いたします。
多職種連携:理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーが緊密に連携し、患者さん一人ひとりの状態に合わせた包括的なケアを実施いたします。
先進治療:従来の薬物療法に加え、脳深部刺激療法(
DBS)
*1、レボドパ経腸液療法
*2、レボドパ持続皮下注療法
*3、集束超音波治療
*4など、最新の治療選択肢を幅広く提供いたします。
研究・教育連携:名古屋大学大学院医学系研究科との緊密な連携により、先端的な研究や臨床試験を推進し、医師だけでなく、看護師、リハビリテーション専門職、薬剤師、臨床心理士など幅広い医療従事者の育成にも取り組み、チーム医療の質向上に貢献します。
情報発信と社会連携:ホームページや各種メディアを通じて最新の治療情報や研究成果を積極的に発信します。また、市民公開講座や患者・家族向けセミナーを定期的に開催し、パーキンソン病に関する正確でわかりやすい情報を広く提供します。
従来の脳神経内科中心の診療体制では、増加する患者数と高度化する治療への対応が課題でした。本センター開設により、診療・研究・教育を統合した専門体制を構築し、地域および国際的なパーキンソン病医療の発展に貢献してまいります。
名古屋大学医学部附属病院
難治性疾患診療部長 川嶋啓揮
パーキンソン病総合医療センター長 勝野雅央
【用語説明】
*1)脳深部刺激療法(
DBS)
脳に入れた電極から電気を流して、ペースメーカーのように症状を調整する治療です。
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2)レボドパ経腸液療法
ポンプでレボドパを腸に直接送り続けて、薬の血中濃度そして症状を安定させる治療です。
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3)レボドパ持続皮下注療法
ポンプでレボドパを皮膚の下に注入し続けて、薬の血中濃度そして症状を安定させる治療です。
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4)集束超音波治療
脳の中で症状の原因となっている部分を、超音波の原理を用いて破壊する治療です。