遠隔連携診療を開始―専門医が遠隔で診療支援する新たな地域医療連携モデル―
要旨
名古屋大学医学部附属病院(以下、名大病院)では、先端医療開発部の中野嘉久特任助教、杉下明隆病院助教、および健康医療ライフデザイン統合研究教育拠点(以下、C-REX)の水野正明特任教授らを中心に事業の取り組みの一環として、久美愛厚生病院と連携し、令和8年4月28日より遠隔連携診療を、循環器内科を皮切りに開始しました。
本取り組みでは、病院のみならず、かかりつけ医が対面で診療を行う場にも名大病院の専門医がICTを活用して遠隔で参加する診療体制(D to P with D)を構築し、専門的知見を地域医療に還元することを目的としています。
ニュースのポイント
○名大病院と久美愛厚生病院が連携し、遠隔連携診療を新たに開始
○患者さんが遠方の医療機関に移動することなく、専門医の知見を診療に反映可能
○ICTを活用した地域医療連携の強化モデル
○令和8年4月28日より運用開始
背景
専門的な医療を必要とする患者さんにとって、大学病院などの高度医療機関への受診は、居住地域によっては距離や移動時間の負担が大きな課題となることがあります。また、地域医療を担う医師にとっても、専門的な判断を要する症例への対応は大きな負担となる場合があります。
こうした課題を踏まえ、名大病院およびC-REXではICTを活用し、専門医が遠隔から診療に参加する遠隔連携診療体制の構築を進めてきました。同様の課題認識のもと国においても、D to P with D 形式の遠隔診療に対して「遠隔連携診療料」の算定が認められており、令和8年度診療報酬改定ではその評価が大幅に引き上げられることが決定しています。
成果
令和8年4月28日に初回の遠隔連携診療を実施しました。
本診療では、名大病院の専門医が久美愛厚生病院で対面診療を行う医師とICTを介して同時に診療に参加し、専門的見地からの助言をリアルタイムで提供しました。これにより、地域医療機関においても大学病院の専門的知見を活用した診療が可能となりました。
今後の展開
本取り組みにより、地域医療機関においても大学病院の専門医の知見を活用した診療が可能となり、患者さんの移動負担の軽減と地域医療の質の向上が期待されます。
今後は、遠隔連携診療の円滑な運用体制の確立を進めるとともに、対象疾患や連携医療機関の拡大を図り、より多くの地域で専門医療へのアクセス向上を目指します。
名大病院およびC-REXでは、本取り組みを大学病院の専門性を地域へ還元する新たな医療連携モデルとして発展させ、地域間の医療格差の解消と持続可能な地域医療体制の構築に貢献していきます。
用語説明
【ICT】
情報通信技術 Information and Communication Technologyの略。インターネットや通信技術を用いて、情報のやり取りやコミュニケーションを行うための技術。
【D to P with D】
Doctor to Patient with Doctor。かかりつけ医が対面で診療を行う場に、大学病院の専門医が遠隔で参加する診療体制。