名古屋大学医学部附属病院(以下、名大病院)親と子どもの心療科と、名古屋大学心の発達支援研究実践センターが協力し、2023年より3年間の予定で、医療技術等国際展開推進事業としてモンゴルにおける子どものこころの診療を行える医師の育成制度(専門医制度)確立に向けた支援を行っています。2025年10月から6か月間、同育成制度の第3期生の専攻医が研修中です。その中で、日本で2週間の研修が行われ、名大病院でも2日間の研修が行われました。事業としての実施は今年度が最終年度となりますが、今後、これまでに研修を受けた医師が中心となり、モンゴルにおいて児童精神医療の実践が展開され、また後進の育成が進められる予定です。
○モンゴルにおいて、日本の制度を参考にした子どもの心の診療を行う専門医の育成制度確立に向けた支援を行っています。
○2023年にモンゴルにおける子どものこころの診療を行う専門医の育成プログラムが始まりました。同プログラムの第3期生が2025年12月に来日して2週間の研修を行い、名大病院での研修も行われました。
○育成プログラムで研修を受けた医師が中心となり、モンゴルにおいて児童精神医療の実践が展開され、また後進の育成が進められる予定です。
2014年、日本において、子どものこころ専門医制度が作られました。「子どものこころ専門医」は、児童精神医学、小児心身医学を基礎として、子どもの精神疾患、神経発達症(発達障害)、心身症、不登校、虐待など、子どものこころの諸問題に対応する専門医です。小児科学と精神医学の双方を基盤領域とするサブスペシャリティ専門医として位置づけられています。2022年には同専門医の研修プログラム制度が始まり、専門医の育成が進んでいます。
モンゴルの子どもの7人に1人が何らかの精神疾患を経験していると考えられる一方で、同国には子どものこころの診療を行うことの出来る医師は数少なく、公式な専門医制度はありませんでした。医師やコメディカル養成も含めて支援体制の整備はその端緒についたところです。同国における子どものこころの診療体制を整えるべく、名大病院親と子どもの心療科と名古屋大学心の発達支援研究実践センターが協力し、2023年より3年間の予定で、医療技術等国際展開推進事業として同国における子どものこころの診療を行える医師の育成制度(専門医制度)確立に向けた支援を行っています。日本の子どものこころ専門医制度を参考に養成制度が構築され、2年間で20名の医師が研修を修了し、2025年は12名の医師が研修中です。
これまでの臨床経験、地域性や継続可能性など、様々な要素が考慮されて第3期生(精神科医12名)が選抜され、6か月間の研修を開始しています。そのうち2週間を日本で研修し、2025年12月10日および12月19日には名大病院で研修を行いました。自殺企図後の思春期症例の支援に関する症例検討を行い、また子どものこころの診療を行える医師の研修やキャリアについて議論しました。外来、入院病棟の見学研修も行われました。12月19日は2週間の研修最終日であり、専攻医の先生方に修了証が手渡されました。第3期生の先生方からは、これからモンゴルの子どものこころに関する臨床・研究を盛り上げていこうという熱意が伝わり、日本側関係者も大変刺激を受けました。
3年間のプロジェクトの中で研修を受けた医師が中心となり、モンゴルにおいて児童精神医療の実践が展開され、また後進の育成が進められつつあります。名大病院親と子どもの心療科としても、引き続きモンゴルの児童精神科医師育成体制の整備の支援を行っていく所存です。

図. モンゴルにおける児童精神科医養成プログラムにおける名古屋大学の支援

【2025年12月19日撮影 モンゴルにおける子どものこころの診療を行う専門医の育成プログラム第3期生と】
参考文献
1) Zuunnast K, Kato H, Yokoyama K, Nawa Y, Ogawa S, Yoshikawa T, Kaneko H, Nagata M, Davaasuren O, Nomura K. Launching a Child and Adolescent Psychiatry Training Program in Mongolia Inspired by Japanese Models. PCN Rep. 4(1):e70056. 2025