名大病院の活動について

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名古屋大学医学部附属病院でモンゴルの児童精神科医養成プログラムの指導者および専攻医第1期生が視察研修

要旨

名古屋大学医学部附属病院(以下、名大病院)親と子どもの心療科と、名古屋大学心の発達支援研究実践センターおよび愛知県医療療育総合センターが協力し、2023年より医療技術等国際展開推進事業としてモンゴルにおける子どものこころの診療を行える医師の育成制度(専門医制度)確立に向けた支援を行っています。制度の構築にあたっては、日本の子どものこころ専門医制度が参考とされています。2023年8月に同制度開始に先立つ指導者研修において、名大病院でも研修が行われました。その後同養成制度の第1期生の専攻医が選抜され、同年10月より6ヶ月間の研修中です。その中で、日本で2週間の研修が行われ、名大病院でも2日間の研修が行われました。今回の研修を受けた第1期生が中心となり、モンゴルにおいて児童精神医療の実践が展開され、また後進の育成が進められる予定です。

ポイント

○子どものこころの診療を行う医師の公式な専門医制度がないモンゴルにおいて、日本の制度を参考にした専門医の育成制度確立に向けた支援を行っています。

20238月に指導者研修が行われ、同年10月にモンゴルにおける子どものこころの診療を行う専門医の育成プログラムが始まり、20241月から2月にかけて、同プログラムの第1期生が来日して研修を行い、名大病院での研修も行われました。

○今回の研修を受けた第1期生が中心となり、モンゴルにおいて児童精神医療の実践が展開され、また後進の育成が進められる予定です。

背景

2014年、日本において、子どものこころ専門医制度が作られました。「子どものこころ専門医」は、児童精神医学、小児心身医学を基礎として、子どもの精神疾患、神経発達症(発達障害)、心身症、不登校、虐待など、子どものこころの諸問題に対応する専門医です。小児科学と精神医学の双方を基盤領域とするサブスペシャリティ専門医として位置づけられています。2022年には同専門医の研修プログラム制度が始まり、専門医の育成が進んでいます。

モンゴルの子どもの7人に1人が何らかの精神疾患を経験していると考えられる一方で、同国には子どものこころの診療を行うことの出来る医師は数少なく、公式な専門医制度はない現状があります。医師やコメディカル養成も含めて支援体制の整備はその端緒についたところです。同国における子どものこころの診療体制を整えるべく、名大病院親と子どもの心療科と、名古屋大学心の発達支援研究実践センターおよび愛知県医療療育総合センターが協力し、2023年より、医療技術等国際展開推進事業として同国における子どものこころの診療を行える医師の育成制度(専門医制度)確立に向けた支援を行っています。日本の子どものこころ専門医制度を参考に、養成制度が構築されつつあり、202310月より

1期生が6ヶ月間の研修を開始しています。

成果

これまでの臨床経験、地域性や継続可能性など、様々な要素が考慮されて第1期生(精神科医8名、小児科医2名)が選抜され、6ヶ月間の研修を開始しています。そのうち2週間を日本で研修し、2024126日および22日には名大病院で研修を行いました。摂食障害治療に関する症例検討を行い、また子どものこころの診療を行える医師の研修やキャリアについて議論しました。外来、入院病棟の見学研修も行われました。22日は2週間の研修最終日であり、専攻医の先生方に修了証が手渡されました。第1期生の先生方からは、これからモンゴルの子どものこころに関する臨床・研究を立ち上げていくんだという熱意が伝わり、日本側関係者も大変刺激を受けました。

また、それに先立つ20238月には、モンゴル医科大精神科Khishigsuren Zuunnast教授、同大学小児科Erdenetuya Ganbaatar教授、モンゴル国立精神病院Vanchindorj Bayarmaa院長はじめ指導者が来日し視察研修が行われました。824日に名大病院を訪問され、子どものこころの診療を行える医師の研修システムについて議論がなされるとともに、丸山副病院長への表敬、および外来、入院病棟の視察が行われました。

今後の展開

今回の研修を受けた第1期生が中心となり、モンゴルにおいて児童精神医療の実践が展開され、また後進の育成が進められる予定です。名大病院親と子どもの心療科としても、引き続きモンゴルの児童精神科医師育成体制の整備の支援を行っていく所存です。

 

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20241月撮影 モンゴルにおける子どものこころの診療を行う専門医の育成プログラム第1期生と】

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20238月撮影 モンゴルからの指導者研修で副病院長を表敬訪問】