名大病院の活動について

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全国トップレベルの治療提供を目指して小児循環器センターが稼働しています。(「名大病院かわらばん」131号)

2023年、名大病院に小児心疾患の患者さんを受け入れる小児循環器センターが設立されました。小児心臓外科医の櫻井一病院教授、小児循環器科医の大橋直樹病院准教授が着任し、本格的に活動を始めています。センターの目的や今後の展望などを伺いました。

小児心疾患のトップセンターを目指して

名大病院は2016年より小児医療センターの確立を目指し、小児医療に重点を置いてきました。年々、少子化が進む中で、20年、30年先も高度な医療を地域へ継続して提供するために、専門性の高い医療技術や施設設備を集約させた拠点づくりを進めています。その一環として、2023年「小児循環器センター」を起ち上げました。当センターには10名ほどの専門職を中心に、各プロジェクトチームで手術室の運用や外来の設置、心臓カテーテル検査室や小児集中治療室の新設などに取り組み、年度ごとに年齢別・難易度別に目標を立て、実績を評価しながら、安全に、そして着実に高度化を図っています。現在は心室中隔欠損症などの軽症例、成人先天性心疾患の治療から始めていますが、最終的には新生児の重症例にも対応できる全国屈指のトップセンターを目指しています。

名大病院だからこそ治療が完結できる

先天性心疾患のお子さんは、およそ100人に1人。重症心疾患では、25年前はそのうち8割が亡くなっていましたが、今は適切な手術を行えば9割が助かるようになりました。ただ、先天性心疾患には多数の種類があり、発症頻度も1%以下の重症例がいくつもあります。高い治療レベルを維持するには、医師が経験を重ねて知識や技術を共有することが重要で、今後、少子化が進めば医師の経験不足、治療技術の低下が起きるのではないかと危惧されています。当院は大学病院として人材育成を使命としており、多くの症例が集まる当センターで医師のレベルを高めていきたいと考えています。

加えて、先天性心疾患は成長に伴う変化を見ていくことも大切です。加齢による異変も少なからず起こり、現在、その点、成人の受け入れはもちろん、最終的な手段となる心移植の実績も豊富で、一つの病院で他科と連携しながら治療を完結できるのは、総合病院である当院の強みと言えるでしょう。

すべての小児患者さんを受け入れられる拠点へ

当センターは今後、すべての小児患者さんを受け入れられる全国トップレベルの拠点を目指すと同時に、当院が掲げる他分野も含めた小児医療センターの構築に向けて、その一翼を担うことができればと考えています。現在の課題としては先天性心疾患の患者さんが成人後、無事に妊娠・出産ができるように支援する産婦人科医が全国的に少ないことが挙げられます。当センターの活動の幅を広げて、将来は愛知県でも安心して出産ができる環境を整えられればと思っています。

小児心疾患の領域はニッチですが、治療が必要な方は確実にいます。今後進んでいく少子化の中で子どもの命を守ることは非常に重要で、当センターの活動は社会的な使命を担っていると信じています。

小児循環器センターでは手術が必要な患者さんのための小児循環器外来を開設しています。小児心臓外科は水曜午後、小児循環器内科は木曜午後に診察を行っています(予約制)。受診に関心のある方は、まずはかかりつけ医にご相談ください。

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▲(左より)小児循環器センターの大橋病院准教授、  ▲先天性心疾患医療の専門医を中心に、名大病院ならではの
  六鹿教授(センター長)、櫻井病院教授                        高度な治療提供を目指す

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「名大病院かわらばん」131号 PDFファイル・目次

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<目次>

・全国トップレベルの治療提供を目指して小児循環器センターが稼働しています。

・新年のご挨拶

・海外医療機関との学術交流を再開しました。

・通院支援アプリのサービスを開始しました。

・診療科レポート「老年内科」

・ナディック通信

・病院からのお知らせ

・特定基金 医学部附属病院支援事業へのご協力のお願い

・かわらばんHP のご案内


「名大病院かわらばん」について     

当院では、病院の活動を広く院内外にお知らせするために『名大病院かわらばん』を発行しており、以下のURLからご覧いただけます。

https://www.med.nagoya-u.ac.jp/hospital/outline/publish/

※『名大病院かわらばん』は、当院における積極的な取組事項等を中心に掲載した季刊誌です。
※上記ホームページには、第58号(2006年1月発行)分から掲載しております。