名大病院の活動について

名大病院の活動について

もどる


名大病院が肺移植実施施設に認定。 適応評価から手術まで一貫して対応します。(「名大病院かわらばん」130号)

2023年3月、名大病院は国内で11施設目となる肺移植実施施設に認定され、同年8月より肺移植外来を開設しています。認定の経緯や肺移植医療の今後について、呼吸器外科の芳川豊史教授に伺いました。

救える命を救うために最善の医療を

肺移植は他に有効な治療法がない慢性呼吸不全の患者さんにとって、最後の救命手段となりえる治療法です。現在、日本で行われる肺移植手術は年間120例ほどですが、移植医療への理解が進んだ結果、年々、患者さんは増加しています。ただ、国内にはそれに対応できる肺移植実施施設や移植手術ができる医師の数も少ないのが現状です。
私自身は国内外で多くの肺移植手術に携わってきました。当院は肺移植実施施設ではありませんでしたが、2019年の着任以降、肺移植の相談に来られる患者さんが増えました。私が適応ありと判断した方には、すぐに関西の実施施設をご紹介し、脳死肺移植登録だけでなく、生体肺移植を含め、実際の肺移植手術を受けていただくことができました。当院は従来、肺移植患者さんの術前・術後管理は行ってきましたが、院内で肺移植医療を完結できれば、命を救える可能性は広がるはずです。最善の医療を求める地域の期待に応えたい。その想いが肺移植実施施設認定に向けた動きにつながりました。

病院一丸で準備を進め、高評価を得て認定


それまでも肺移植患者さんの術前・術後管理を通して各病棟で肺移植医療への理解を深めてきましたが、2021年に肺移植実施施設を目指してワーキンググループを設置すると、各科の医師や看護師、検査技師、放射線技師など多くの職員が参加。それぞれが懸命に学び、国内最大の肺移植実施施設でも研修を受けるなど、病院一丸となって準備を進めてきました。その結果、非常に高い評価を得て今回の認定に至りました。
認定により当院は、肺移植の適応評価から脳死肺移植登録、肺移植手術まで、肺移植に必要なプロセスを一貫して院内で行うことが可能となりました。2023年8月には肺移植外来を開設。脳死肺移植適応評価から適応検討申請、日本臓器移植ネットワークへの待機登録も始まっています。現在はまず脳死肺移植から取り組み、平行して生体肺移植の準備も進めているところです。

肺移植医療をこの地に根づかせるために


欧米では既に肺移植は日常的な手術であり、日本でもいち早く世界標準の医療を提供する必要があります。それには若手医師の育成がかかせず、世界と渡り合える力量を養うために、当院では多くの人材が継続して国内外で肺移植のトレーニングを積んでいます。こうして得た高度な手技を患者さんに還元し、肺移植医療をこの地に根づかせることが次の目標です。
当院は肝臓、心臓、小腸、血液、腎臓に関わる移植手術も行っており、それらの豊富な実績と他科の医師との連携体制も肺移植実施施設としての強みだと考えています。今回の認定により、継ぎ目のない肺移植医療の提供が可能となり、地域の患者さんに新たな医療の選択肢を提示できるようになりました。当院は今後も患者さんに頼りにされる地域医療の最後の砦として、その責務を果たしていきたいと思っています。

kawaraban130-1.JPG      kawaraban130-2.png
▲お話を伺った芳川教授               ▲肺移植判定部会の様子

--------------------------------------------------------------------

「名大病院かわらばん」130号 PDFファイル・目次

kawaraban130.png

<目次>

・名大病院が肺移植実施施設に認定。 適応評価から手術まで一貫して対応します。

・魚沼基幹病院と連携・協力に関する基本協定書を締結しました。

・術後疼痛管理チームを設置しました。

・名大病院臨床研修医のご紹介

・教えて!この言葉「放射線検査による医療被ばく」

・病院からのお知らせ

・ナディック通信

・鶴舞公開講座

・かわらばんHP のご案内


「名大病院かわらばん」について     

当院では、病院の活動を広く院内外にお知らせするために『名大病院かわらばん』を発行しており、以下のURLからご覧いただけます。

https://www.med.nagoya-u.ac.jp/hospital/outline/publish/

※『名大病院かわらばん』は、当院における積極的な取組事項等を中心に掲載した季刊誌です。
※上記ホームページには、第58号(2006年1月発行)分から掲載しております。